オオカミがてた!!
3
遠吠えがする。
子犬がせわしなく砂場を走り回っている。
遠吠えにはゾクッとするような野性味があった。
子犬がいちにんまえに低い唸り声をあげている。
公園の外の暗がり、弁天町の方角から、なにか近づいてくる気配がする。
獣の臭気。
唸り声。
そして黒犬があらわれた。
「あれは黒犬なんかじゃない。狼よ」
紅子がむぞうさに翔子から離れていく。
紅子と翔子の視線の先には、狼と男。
「あんたらドイツの黒い森からさ迷いでたの? それとも」
「そのそれともだ。シュヴァルッヴァルト(黒い森)はカルパチア山脈にもあるだろうが」
「東京へヤバイやっらが侵攻してきたときいたわ。それあんたたちのこと?? そうよね」
「なにいっている。おれたちのほうがさきだった」
「どう、住みいいみたいね。この日本が気に入っているみたいね」
「そちらの翔子ちゃんとはにどめだな」
いわれなくても翔子にはわかっていた。
あの黒犬だ。この男だったのか。
あの薄暗い鉄格子の影に隠れていたのは。
「翔子。逃げなさい」
遅かった。
男はひとりではなかった。
数人の男たちに取囲まれた。
「翔子。刀をぬいて」
「置いてきたの。近所の散歩だったから」
「ばか。こんなときに、素手なの」
「ごめん」
わたし吸血鬼にあやまっている。
わたし紅子の守られている。
バカみたい。
プチしていただければ作者の励みになります。
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遠吠えがする。
子犬がせわしなく砂場を走り回っている。
遠吠えにはゾクッとするような野性味があった。
子犬がいちにんまえに低い唸り声をあげている。
公園の外の暗がり、弁天町の方角から、なにか近づいてくる気配がする。
獣の臭気。
唸り声。
そして黒犬があらわれた。
「あれは黒犬なんかじゃない。狼よ」
紅子がむぞうさに翔子から離れていく。
紅子と翔子の視線の先には、狼と男。
「あんたらドイツの黒い森からさ迷いでたの? それとも」
「そのそれともだ。シュヴァルッヴァルト(黒い森)はカルパチア山脈にもあるだろうが」
「東京へヤバイやっらが侵攻してきたときいたわ。それあんたたちのこと?? そうよね」
「なにいっている。おれたちのほうがさきだった」
「どう、住みいいみたいね。この日本が気に入っているみたいね」
「そちらの翔子ちゃんとはにどめだな」
いわれなくても翔子にはわかっていた。
あの黒犬だ。この男だったのか。
あの薄暗い鉄格子の影に隠れていたのは。
「翔子。逃げなさい」
遅かった。
男はひとりではなかった。
数人の男たちに取囲まれた。
「翔子。刀をぬいて」
「置いてきたの。近所の散歩だったから」
「ばか。こんなときに、素手なの」
「ごめん」
わたし吸血鬼にあやまっている。
わたし紅子の守られている。
バカみたい。
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