1月7日 水曜日
七草なずな、唐土の鳥が、日本の土地に、渡らぬ先に、ストトントン ……。
●70年以上も前に母に教わった俗謡だ。
記憶とは不思議なものでいまだに覚えている。
でも、念のため検索してみた。
トウトノトリガワタラヌサキニという意味を、
漢字表記でよんではっきりと理解できた。
●唐土を母はトウトと、にごらずに歌っていたようだ。
なにか朝からほのぼのとしたきもちになった。
眼の前の仏壇の母の位牌を見上げた。
母が七草をキザム、
俎板を叩く音が耳の奥からきこえてくる。
●そういえば、
母は死ぬ間際に、
「正一、ひとの癒しになるような小説を書いてよ」
といっていた。
●わたしは、アンチロマンに夢中になっていた。
ナタリーサロートのような小説を書いていた。
もちろん母のことばを歯牙にもかけなかった。
さびしかったのだろうな。
心の癒しをほしがっていた母に、
なにひとつむくいることができなかった。
●七草の朝の思い出だ。
今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
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●70年以上も前に母に教わった俗謡だ。
記憶とは不思議なものでいまだに覚えている。
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トウトノトリガワタラヌサキニという意味を、
漢字表記でよんではっきりと理解できた。
●唐土を母はトウトと、にごらずに歌っていたようだ。
なにか朝からほのぼのとしたきもちになった。
眼の前の仏壇の母の位牌を見上げた。
母が七草をキザム、
俎板を叩く音が耳の奥からきこえてくる。
●そういえば、
母は死ぬ間際に、
「正一、ひとの癒しになるような小説を書いてよ」
といっていた。
●わたしは、アンチロマンに夢中になっていた。
ナタリーサロートのような小説を書いていた。
もちろん母のことばを歯牙にもかけなかった。
さびしかったのだろうな。
心の癒しをほしがっていた母に、
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●七草の朝の思い出だ。
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