田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

乙女走りについて考えたこと。 麻屋与志夫

2018-11-15 05:16:56 | ブログ
11月15日 Thu.

●鮫島彩選手の乙女走りについて書いたあとでかんがえた。むかしは、と、ここでGGの得意技、昔がたりとなる。女性は下駄や草履をはいていたので、つま先を内側にむけて歩いたものだ。いまでは着物もすたれ、したがってゲタやゾウリは日常生活ではあまりはかない。だいいち下駄屋さんというお店はGGのすむ田舎町においてはとうのむかしに絶滅した。

●なぜ日本古来の履き物にこだわるのか。わが家の職業は野州麻の問屋だった。大麻の販売を(もちろん繊維)していた。そのなかに芯縄をつくるという仕事があった。麻を細くさいて綯いあわせる。鼻緒の芯にするためである。

●樋口一葉の「たけくらべ」だったかな、下駄の鼻緒が切れて女の子が男の子(しんによ、というお坊さんだったかな)にスゲテもらう場面があった。少年の頃どきどきしながら読んだ記憶がある。

●終戦直後のことで、ペラペラした粗末な紙だった。あの「たけくらべ」の本どこにいってしまったのだろう。いくら書棚をさがしてもみつからない。

●鼻緒は麻の芯縄だったので雨にはよわい。濡れたままにして置くと、よくきれた。

●いまでは、夏に浴衣を着る女の子がどうどうと男性的な歩きかたをする。スニーカーを履いている子もいる。隔世の感がある。

●鮫島選手の乙女走りに旅愁を感じるのはこうしたむかしの記憶があるからなのだろう。ノスタルジアと感じるのは、まさにいまの環境が異郷に地に住んでいるような感慨に浸るのことを余儀なくさせるからだ。


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