田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

水墨画家「村上犀」君の死を悼む 麻屋与志夫

2018-11-30 01:01:19 | ブログ
11月30日 Fri.

●今月の某日、72年来の付きあいであった『村上犀』君の訃報が届いた。横浜に住む娘さんから電話で知らされた。老人性膝関節症でよたよたしているGGのわたしは葬式には参列できなかった。

●彼とは旧制中学の一年生の教室で知り合った。共に模型ヒコウキ作りが趣味と知り意気投合したのだった。つきあってみると、絵が得意で、家業の蕎麦屋を継ぐのをキライ、絵描きになりたいのだといった。麻屋を継ぐのが嫌いなわたしとは気があった。小さな田舎町で、将来芸術家を志す少年がであったわけだ。この偶然の出会いはどれくらいの確率で起きたのだろうか。

●以来つき合いはとぎれることはなかった。この春30数年ぶりで遊びに来てくれた。

●瞬時、「ああ、お別れに来てくれたのだな」と悟った。長い年月の思い出がわたしの脳裏で渦巻いた。はたせるかな、彼の母校の小学校を訪ねても、共に飛行機をとばした御殿山につれていっても、肩に下げたカメラのシャッターを切ることはなかった。気力が萎えている。憔悴していた。

●わたしの家の近くに幼稚園があった。その時のことを楽しそうに話していた。

●彼が絵描きになったら、わたしが小説家になったら、わたしの本の表紙を飾る絵を描いてくれる約束だった。

●尾羽打ち枯らしたわたしへの配慮から彼はそのことは、口にしなかった。立派に大成した彼の本名は「倉持光雄」。

●君がいなくなって、さびしくなった。同級生で友人だった仲間はみんなそちらにいってしまったもの――。さびしいよ。

●わたしは雑誌デビューを果たしただけで賞とは関係ない、どうショウもない物カキだ。

●君の努力を想いながら、これからもどこまで行けるかわからないが、精進するからそちらで見守っていてくれ。

●さようなら。



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