田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

死は背後から音もなく迫ってくる。GGには天から降ってきた。 麻屋与志夫

2020-02-02 10:16:22 | ブログ
2月2日 日曜日

●徒然草に「死は背後から音もなく迫ってきているものだ」という言葉があったと記憶している。

●わたしの場合。死は天からふってきた。といっては、おおげさだが、アトローム血栓性脳梗塞におそわれた。

●昨年の六月末のことだった。それはテレビで妻と「ベンジャミン・バトンの数奇な運命」をみているときに起きた。「おれと同じくらいの年で、生まれたことになるのだな」とかたわらの妻にはなしかけようとした。唐突に、口からお茶がこぼれた。

●「どうしたの」と妻がきいている。声をだそうとするが声が出ない。がさがさした言葉にならない音がしている。

●「どうしたの。どうしたの?」という妻の声が尖る。甲高くひびく。

●わたしは、卓にのっているノートを引き寄せた。書いた。『お茶のめなかった。吐いた。声が出ない』

●それからさきのことは意識が途切れがちで、時間の経過があいまいになってしまった。

●上都賀病院に救急車で運ばれ、そこから壬生にある「独協医大病院」

●病名は上記のとおりだ。枕元のカードに書かれていた。担当医と看護師さんの名前もそれで知れた。

●東京にいるはずの子どもたちが枕元にそろっている。とぎれとぎれにではあるが、全員そろった家族の話し声も内容もわかる。声はでない。……がさつな音。あれから、どのくらい時間が経過しているのか。救急車で壬生まできたのは覚えているが、あとは記憶にない。意識が朦朧としている。せん妄状態。いやもっとこの状態を呼ぶのに適した医学用語があるのだろう。と考えたところで「しめた。思考能力の欠如はないぞ」と気づいた。

●翌朝。目覚めた。声がでる。枕元のスマホで妻を呼びだした。

●「声がでたぞ」遥かかなた。家にいる。妻が喜ぶ姿が目に浮かぶ。

●これで、死なずにすんだ。なんども意識が途絶えた。重症だったら。あのままあちらに旅立っていた。

●これでまた、小説が書ける。

●死は不意に襲ってくる。何の前触れもなく唐突に襲ってくる。兼好法師はそのことを言いたかったのだろう。


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