紅子との対話
11
純ごめんね。あのままひきかえすべきだったのだ。
純ごめんね。わたしミスったかも。
翔子は必死のおもいで純をみつめる。
すぐそばにいる純。
なぜか、遠くにいるような感じ。
「わたしたちの当面の敵は、ご当地、日本産の吸血鬼〈鬼〉なのだわさ」
紅子のことばがまたあやしくなる。
紅子はことばの乱れには気づいていない。
日本語ではなせるのがたのしそうだ。
「平安時代の鬼がいまこの平成の都にきてのるヨ。
まさかトウキョウで鬼合戦するとはソウテイガイょ。
わたしたちイソガシイノョ。
ほうっておいてくれルカナ」
「そちらで仕掛けてきたのだろう。
翔子を池袋でストーカーしたから、
彼女が怯えて……ぼくのところへメールをくれた。
それが始まりだろうが」
よかった。
純は紅子の思念の支配下にはないみたいだ。
すごくたよりになる。
そしてわたしのことをすごく心配してくれているのだ。
うれしい。
純がすく隣にいる。
わたしの……手をにぎってくれた。
そうこの手だ。
小学生のわたしを鶴巻公園の砂場でおもいっきり遊ばせてくれた。
あのころよく手をつないで歌をうたいながら道場にもどった。
夜には塾の教室で勉強をみてくれた。
あのころから、純のこと好きだった。
たよりになる、なつかしいお兄ちゃん。
自然とほほがあつくなった。
こころがほんわかと温かくなる。
お兄ちゃん。
お兄ちゃん。
純。純。純。と唱えていると体に精気がみなぎってくる。
こんどは紅子がとおのく。
小さくみえる。吸血鬼の呪縛から解放された。
プチしていただければ作者の励みになります。
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純ごめんね。あのままひきかえすべきだったのだ。
純ごめんね。わたしミスったかも。
翔子は必死のおもいで純をみつめる。
すぐそばにいる純。
なぜか、遠くにいるような感じ。
「わたしたちの当面の敵は、ご当地、日本産の吸血鬼〈鬼〉なのだわさ」
紅子のことばがまたあやしくなる。
紅子はことばの乱れには気づいていない。
日本語ではなせるのがたのしそうだ。
「平安時代の鬼がいまこの平成の都にきてのるヨ。
まさかトウキョウで鬼合戦するとはソウテイガイょ。
わたしたちイソガシイノョ。
ほうっておいてくれルカナ」
「そちらで仕掛けてきたのだろう。
翔子を池袋でストーカーしたから、
彼女が怯えて……ぼくのところへメールをくれた。
それが始まりだろうが」
よかった。
純は紅子の思念の支配下にはないみたいだ。
すごくたよりになる。
そしてわたしのことをすごく心配してくれているのだ。
うれしい。
純がすく隣にいる。
わたしの……手をにぎってくれた。
そうこの手だ。
小学生のわたしを鶴巻公園の砂場でおもいっきり遊ばせてくれた。
あのころよく手をつないで歌をうたいながら道場にもどった。
夜には塾の教室で勉強をみてくれた。
あのころから、純のこと好きだった。
たよりになる、なつかしいお兄ちゃん。
自然とほほがあつくなった。
こころがほんわかと温かくなる。
お兄ちゃん。
お兄ちゃん。
純。純。純。と唱えていると体に精気がみなぎってくる。
こんどは紅子がとおのく。
小さくみえる。吸血鬼の呪縛から解放された。
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