田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

超短編21 カーブミラー 麻屋与志夫

2023-09-30 05:53:03 | 超短編小説
9月30日 土曜日
細い道だ。

彼の毎朝の散歩道だ。

木陰になっている。

昼でも薄暗い。

カーブミラーが立っている。

ポールは鉄製なのだろう。

赤さびている。

鏡もだれもクモリをふくものがいない。

いつもよごれている。

彼が、路肩によって車をよけているのに。

ドライバーは会釈もしない。

「おジイャン。あれなに。ぽつんとたっているの」
「カーブミラーだ。むかし、あそこで死傷事故あったのだ」

車は平然とカーブをまがった。



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