8
父たちがアラブ人のアジトをいちはやく発見した。
Vセクションの情報収集力にオドロキ。
弾丸で撃たれた死体のムゴサをはじめて見た。
そして内臓のはみでた不気味さ。
イヤナ臭い。
「日名子は……? いるの。ブジなの」
「いまのところ、わからない。GOGOGO」
突入の指令は英語。ここはトウキョウなのに。なにかヘンなの。
死体の悪臭をかいでいるうちに、翔子の感覚は異常になった。
わたしは、純粋培養で育てられてきた。
世の中の悪意、悪友、悪趣味、には触れたことがない。
でも、ダカラと言うべきか、正義感は強い。
確かに異形のモノ、吸血鬼は斬り捨ててきた。
吸血鬼は斬れば、粘ばつく塊とる。
溶ける。
あるいは、灰となる。
キレイナモノだ。
あとになにも残らない。
人間の死体のムゴサ。
生きようとする執念。
死の恐怖と戦い。
かれらは死に、あるいは致命傷をうけながら……のたうっている。
「翔子はここにのこって」
父が去ってから数分。
まだ銃声が時折している。
「ヘルプ」
ノタウッテいた男が翔子に手をのばした。
それで、おしまい。ばたっと手が倒れた。
翔子はやりきれない。
せっない。どうしてテロなんて起こすの。
ふと見上げる。
父たちが踏み込んだ日本家屋の裏にビルがある。
平屋の日本家屋のすぐそばにビルがある。
都会の建造物のアンバランス。異常だ。
銃声はそのビルのほうでしている。
あっだれかいる。
はつきりとはわからない。
制服だ。わたしの学校の制服だということはみてとれる。
まさか日名子。跳び下りる気らしい。
背筋が震える。
もうどうしょうもない。
「やめて」
翔子は叫ぶ。
「死なないで」
翔子は泣き声で叫ぶ。
「やめて。だれかとめて」
だが跳んだ。
落下する。
ああもうだめだ。
その時だ。
ばさっと羽ばたきの音がした。
とてつもなくおおきな白い翼。
天使の羽だ。
飛翔してきたものは中空で落下する女子学生を捉えた。
バサッと羽の音がして、翔子のそばに舞いおりた。
日名子だった。日名子に翔子かけよる。
「センパイ。日名子さん、どうして。どうして」
「わたしが生きていると父がおもうように政治家てして動けないの。いつもわたしのことで脅迫されているの。愛する日本のために命をかけている父の行動が鈍るの。わたしもこの日本が大好き。だからわたしを死なせて」
それだけいうと、失心してしまった。
「落下するときのショックが強すぎたのかしら」
ミイマだった。
ミイマたち神代寺MV族は、天国の花園の園丁だった。
ルシファーの悪だくみで神の園から追われた。
堕天使だ。
羽根があって空が飛べても、あたりまえだ。
「あうりがとう、ミイマ。日名子を救ってくれて。ありがとう」
「ああ、しばらくぶりで封印していた飛翔能力を使ったので、息切れがしたわ」
ミイマにとっての「しばらくぶり」とは。
その歳月を考えると翔子は頭がくらくらした。
悪臭の悪酔いからまだぬけきつていないのかしら。
「ミイマ、ありがとう」
翔子はミイマにだきついた。
こんどこそ大声で泣きだした。
銃声もやんでいた。
APECのテロは未然に防げたらしい。
今日も遊びに来てくれてありがとうございます。
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父たちがアラブ人のアジトをいちはやく発見した。
Vセクションの情報収集力にオドロキ。
弾丸で撃たれた死体のムゴサをはじめて見た。
そして内臓のはみでた不気味さ。
イヤナ臭い。
「日名子は……? いるの。ブジなの」
「いまのところ、わからない。GOGOGO」
突入の指令は英語。ここはトウキョウなのに。なにかヘンなの。
死体の悪臭をかいでいるうちに、翔子の感覚は異常になった。
わたしは、純粋培養で育てられてきた。
世の中の悪意、悪友、悪趣味、には触れたことがない。
でも、ダカラと言うべきか、正義感は強い。
確かに異形のモノ、吸血鬼は斬り捨ててきた。
吸血鬼は斬れば、粘ばつく塊とる。
溶ける。
あるいは、灰となる。
キレイナモノだ。
あとになにも残らない。
人間の死体のムゴサ。
生きようとする執念。
死の恐怖と戦い。
かれらは死に、あるいは致命傷をうけながら……のたうっている。
「翔子はここにのこって」
父が去ってから数分。
まだ銃声が時折している。
「ヘルプ」
ノタウッテいた男が翔子に手をのばした。
それで、おしまい。ばたっと手が倒れた。
翔子はやりきれない。
せっない。どうしてテロなんて起こすの。
ふと見上げる。
父たちが踏み込んだ日本家屋の裏にビルがある。
平屋の日本家屋のすぐそばにビルがある。
都会の建造物のアンバランス。異常だ。
銃声はそのビルのほうでしている。
あっだれかいる。
はつきりとはわからない。
制服だ。わたしの学校の制服だということはみてとれる。
まさか日名子。跳び下りる気らしい。
背筋が震える。
もうどうしょうもない。
「やめて」
翔子は叫ぶ。
「死なないで」
翔子は泣き声で叫ぶ。
「やめて。だれかとめて」
だが跳んだ。
落下する。
ああもうだめだ。
その時だ。
ばさっと羽ばたきの音がした。
とてつもなくおおきな白い翼。
天使の羽だ。
飛翔してきたものは中空で落下する女子学生を捉えた。
バサッと羽の音がして、翔子のそばに舞いおりた。
日名子だった。日名子に翔子かけよる。
「センパイ。日名子さん、どうして。どうして」
「わたしが生きていると父がおもうように政治家てして動けないの。いつもわたしのことで脅迫されているの。愛する日本のために命をかけている父の行動が鈍るの。わたしもこの日本が大好き。だからわたしを死なせて」
それだけいうと、失心してしまった。
「落下するときのショックが強すぎたのかしら」
ミイマだった。
ミイマたち神代寺MV族は、天国の花園の園丁だった。
ルシファーの悪だくみで神の園から追われた。
堕天使だ。
羽根があって空が飛べても、あたりまえだ。
「あうりがとう、ミイマ。日名子を救ってくれて。ありがとう」
「ああ、しばらくぶりで封印していた飛翔能力を使ったので、息切れがしたわ」
ミイマにとっての「しばらくぶり」とは。
その歳月を考えると翔子は頭がくらくらした。
悪臭の悪酔いからまだぬけきつていないのかしら。
「ミイマ、ありがとう」
翔子はミイマにだきついた。
こんどこそ大声で泣きだした。
銃声もやんでいた。
APECのテロは未然に防げたらしい。
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