田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

トワイライトの中の木暮サーカス  麻屋与志夫

2009-11-27 19:56:27 | Weblog
11月27日 金曜日

●明日は隣町の宇都宮まで友だちの絵画展と『ニュームーン』を観に行く予定だ。

PCで街の情報を集めた。

地元にいる時間が短い。

なにも知らないのでPCで街の情報を読む。

下野新聞に木暮サーカスが新春公演を宇都宮でやるという記事が載っていた。

●オヤ……、そう読むのが正しいのか。

おどろいた。

わたしはコグレと読んでいた。

キグレと読むのが正しのだ。

●コグレと読んで60有余年。

●そうあれは敗戦の翌年の春だった。と思う。

ともかく年月の重みの中で記憶が曖昧となっている。

時系列にしたがって記憶がよみがえってはこないのだ。

あるいは? 戦時中だったのかもしれないのだ。

●木暮サーカスが今宮神社の境内にかかった。

サーカスという言葉を使わず曲馬団といっていたかもしれない。

●サーカスのひとたちが、わたしの家から一軒を置いて前の空き家で自炊してい

た。かなり長いこと滞在していた。

●ガチャンガチャンとポンプ井戸で水をくみだし、その少女はコップの底にはいっ

た液体を薄めて一気飲みした。

●「なに入っているんで」

好奇心のかたまりみたいなヒロチャンがきいた。

「お酢よ。これのむと体がやわらかくなるの」

空中ブランコの少女だそうだ。

だから体を柔軟にするため毎日酢を飲むのだとそばにいた老婆に教えられた。

「それより、兄さんたち、なにか食べるものないかな。さつまイモでもいいよ」

●一本のサツマの代価として、テントの裾をめくってわたしたちを老婆はタダでサ

ーカスにいれてくれた。

●ジンタの音が鳴り、照明をあびたテントの内部の天井では、少女たちが虚空に舞

っていた。

まったく異界にさまよいこんだコウフン。

●テントをでるとあたりは薄明。

いつもわたしの夢にでる御殿山と今宮神社の間にあった味噌蔵の脇をとおって家路

についた。

●トワイライトという言葉を午前中にPCに打ち込んだ。

その言葉がまだ脳裡にあるうちに木暮――の、『暮』――という言葉にであった。

●夕暮れ。薄明。トワイライト。

●わたしもこれいじょう頭が黄昏ないうちに、薄明かりの中にただよう記憶の断片

をひろいあげて小説を紡いでいきたいとおもったものだ。




●私事ですが、「星の砂」に「初恋の白いバラ」を載せました。そちらもぜひお読みください。

    アイスバーグ
       

       

       

      pictured by 「猫と亭主とわたし

      


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