田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

薔薇バリア/奥様はバンパイァ 麻屋与志夫

2009-07-10 05:47:28 | Weblog
奥様はバンパイァ 24

○これを人影といっていいのだろうか。

青黒い爬虫類のようなごつごつした膚。

「わっちは、この姿のほうが好きでね」

顔は吸血鬼。

般若顔。

乱杭歯に長く鋭い犬歯。

その黄色く濁った色の歯列を剥いて襲いかかってきた。

玲加はオババの頭上に跳んだ。

回転回し蹴り。おばばの側頭をヒットした。

吸血鬼への憎しみが玲加のエネルギーをもえたたせている。

「オババ。はやく食らってしまえ」

武が玲加の背後からオババをカラカウ。

「なんの。こんな小娘」

オババと武は楽しんでいる。

オババは醜い顔をゆがめている。

うれしくて微笑しているのだ。

「やわらかそうな白い肉。フレッシュな生ジュースみたいな若い子の血。コタエラ

レナイネ」

前にオババ。後ろに人狼の武。

そしてBVに隷属するネックウォーマの女子生徒たちに囲まれている。

彼女たちはシュシュと玲加を威嚇する。

いやな口臭が迫る。

サアッと生温かい風が吹き寄せる。

ものの腐ったような臭いがする。

グランドが原野に変わる。

「わかるかい。ここは那須野が原の南の果てだったのだよ。あんたらの一族はみん

なここで食らわれた」

腐臭は九尾族の死体からたちのぼっていた。

人狼に裏切られ滅ぼされた一族の怨念が渦をまいていた。

虚実の狭間で玲加は攻撃をためらっていた。

こんな怪物は、叩こうが蹴ろうが、ダメージとはならない。

どう攻める。

どう戦う。

「なにためらっている。こちらからいくぞ」

武が楽しそうな声でいう。

包囲網が狭まる。

どうする玲加。武が跳躍した。

その狼の姿が玲加に覆いかぶさるように迫った。

「薔薇ヘンス」

玲加の声にmimaのするどい掛け声がダブル。

玲加は薔薇の棘に守られていた。

人狼がギャと吠えた。

薔薇の棘が全身にからみついている。

棘のバリア。

「あのときだって――薔薇の防壁を張ることのできるわたしたちが駆けつけていれ

ば玉藻さまの九尾族は滅亡しなかった」

mimaがはったと人狼と吸血ババアをにらんでいる。

悔恨の涙をうかべている。

奈良時代の怨念がいまだにのこっている。

まさか千数百年生きているわけではない。

肉体は変わる。

しかし恨みの記憶は代々受け継がれるのだ。

     ザ・ジェネラス・ガーデナー
       

     pictures by 「猫と亭主とわたし

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