田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

人狼の餌場 イジメ教師は悪魔の顔/麻屋与志夫

2011-10-19 04:22:22 | Weblog
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「勝平。いつかは、キサマとこうして対決できると……。たのしみにしていた」

悪魔的存在。
そのあらわれ。
である人狼がニカット歯をむいた。
井波少尉の顔になっている。

「キサマの肉はうまそうだ」
「どうしておれたちにアダなすんだ」
「人が苦しむのを見るのが好きだ。われわれには栄養源――元気の元になる。おまえたちの肉を食らうのが好きなのだよ。おいしいからな。ただそれだけの理由からだ。おまえたちの苦しみが、肉が、人狼の食料だ。この街はおれたちの餌場なのだ。ただそれだけのことだ」
「人狼、あんたらには理性はないのか」

パパは人狼たちに切りつけた。
低くかまえた剣がきらめいた。
月の光を断ち切るように、鋭く人狼を下から薙いだ。
たしかに人狼は月光の下では活きいきとしている。
人狼の足がドタっと地面に落ちた。

猫が群がった。
人狼の群れが井波を副谷を庇った。

周囲に盾を形成した。

乱戦。

そしていつのまにか、小野崎のおじさんがパパのよこにいた。

「たしかに見たぞ。こんなヤツが――これが学校に棲んでいたのか。この人狼が息子の敵だったのか!! 慧をイジメテいたのか」

悲痛な声をあげた。
ぼくらはみんな円陣をつくった。
回りにはまたまだ敵がいる。
とり囲まれた。

「ミユ、ムック。ボスだけをねらうんだ」

ぼくはパパと力を併せて念波をボスである井波に浴びせる。

もう戦うことが楽しくて、楽しくて。
だってこれって体ごと参加できるゲームだ。
ゲームの世界のぼくはヒローだ。
いままでだってこうして戦えばよかったのだ。
戦いなんだ。
ぼくらは戦うことを学ばなければならなかったのだ。

いちばんたいせつなことをぼくは避けて、逃げていた。

食うか食われるか。
殺すか殺されるか。

この世にはほんとうに悪魔がいるのだ。
悪魔とは戦わなければ、こちらが滅ぼされちゃうんだ。
いつでも、ぼくらには敵がいる。
悪魔がいる。

じぶんのために、次は愛する家族のために戦う。
そして、街のために。
故郷を愛することを忘れるな。 
家族を守ことを誓え。
武装するときがきたのだ。
じぶんたちのことはじぶんで守るのだ。
カツヘイジィジィの口癖だ。  
ジイチャンの教えだ。

これは男がわすれてはならないことなのだ。
ジィジィが人狼のボスに拳銃をうちこむ。


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