6月24日 火曜日
とくに、下り車線はすいている。
5
牙がくいこむ。
鋭い牙だ。
ぶすと音をたてた。
肉が裂ける音がした。
不気味な音とともに。
牙が!!
眞吾の首筋に楔となってうちこまれた。
眞吾の瞳は反転した。
黒目が瞼にかくれる。
白目となる。
顔がひきつる。
手が虚空にある。
なにかつかもうとした。
もがく。
ずるっと音をたてて吸われている。
ズルッ。
真紅の血が吸血鬼の唇から滴った。
眞吾の顔がみるまに。
ひからびる。
縮んでいく。
無数の皺がよる。
青ざめた死相……。
眞吾。
わたしの愛する眞吾が。
ふりかえる。
白い目は八重子の像をうつしていない。
八重子は、動けない。
足が動かない。
金縛りにあったように、体が恐怖でかたまっている。
なんとかして助けなければ。動けない。
わたしの眞吾。
眞吾がわたしの目前で死んでしまう。
悲鳴をあげた。
眞吾の顔が弟の金次に反転する。
二人の顔が交互に入れ替わる。
イヤーァ。
声はでた。声だけは必死であげた。
誰かきて。誰か、わたしの声を聞いて。
助けににきて。わたしが悲鳴をあげている。
信じられない。
『空っ風』の元ヘッドのこのわたしが悲鳴をあげている。
信じられない。
わたしの眞吾を助けて。
金次を助けて。声だけはだすことができた。
……八重子は目覚めかけてていた。
これは夢だ。夢なんだ。
体は金縛り。まだ動けない。
疲れていた。
たてつづけに、理解をこえた、異常なことが起こりすぎた。
それにしても、これは夢だ。
夢を見ていたのだ。
そして、覚めかけた夢のなかでまだ考えていた。
なぜ吸血鬼なんかが現れたのだ。
あれは吸血鬼だ。まちがいない。
とくに、下り車線はすいている。
5
牙がくいこむ。
鋭い牙だ。
ぶすと音をたてた。
肉が裂ける音がした。
不気味な音とともに。
牙が!!
眞吾の首筋に楔となってうちこまれた。
眞吾の瞳は反転した。
黒目が瞼にかくれる。
白目となる。
顔がひきつる。
手が虚空にある。
なにかつかもうとした。
もがく。
ずるっと音をたてて吸われている。
ズルッ。
真紅の血が吸血鬼の唇から滴った。
眞吾の顔がみるまに。
ひからびる。
縮んでいく。
無数の皺がよる。
青ざめた死相……。
眞吾。
わたしの愛する眞吾が。
ふりかえる。
白い目は八重子の像をうつしていない。
八重子は、動けない。
足が動かない。
金縛りにあったように、体が恐怖でかたまっている。
なんとかして助けなければ。動けない。
わたしの眞吾。
眞吾がわたしの目前で死んでしまう。
悲鳴をあげた。
眞吾の顔が弟の金次に反転する。
二人の顔が交互に入れ替わる。
イヤーァ。
声はでた。声だけは必死であげた。
誰かきて。誰か、わたしの声を聞いて。
助けににきて。わたしが悲鳴をあげている。
信じられない。
『空っ風』の元ヘッドのこのわたしが悲鳴をあげている。
信じられない。
わたしの眞吾を助けて。
金次を助けて。声だけはだすことができた。
……八重子は目覚めかけてていた。
これは夢だ。夢なんだ。
体は金縛り。まだ動けない。
疲れていた。
たてつづけに、理解をこえた、異常なことが起こりすぎた。
それにしても、これは夢だ。
夢を見ていたのだ。
そして、覚めかけた夢のなかでまだ考えていた。
なぜ吸血鬼なんかが現れたのだ。
あれは吸血鬼だ。まちがいない。
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