田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

悪夢  吸血鬼/浜辺の少女(2)

2008-06-24 07:03:50 | Weblog
6月24日 火曜日

とくに、下り車線はすいている。



牙がくいこむ。
鋭い牙だ。
ぶすと音をたてた。
肉が裂ける音がした。
不気味な音とともに。
牙が!!
眞吾の首筋に楔となってうちこまれた。
眞吾の瞳は反転した。
黒目が瞼にかくれる。
白目となる。
顔がひきつる。
手が虚空にある。
なにかつかもうとした。
もがく。
ずるっと音をたてて吸われている。
ズルッ。
真紅の血が吸血鬼の唇から滴った。
眞吾の顔がみるまに。
ひからびる。
縮んでいく。
無数の皺がよる。
青ざめた死相……。
眞吾。
わたしの愛する眞吾が。
ふりかえる。
白い目は八重子の像をうつしていない。
八重子は、動けない。
足が動かない。
金縛りにあったように、体が恐怖でかたまっている。
なんとかして助けなければ。動けない。
わたしの眞吾。
眞吾がわたしの目前で死んでしまう。
悲鳴をあげた。
眞吾の顔が弟の金次に反転する。
二人の顔が交互に入れ替わる。
イヤーァ。
声はでた。声だけは必死であげた。
誰かきて。誰か、わたしの声を聞いて。
助けににきて。わたしが悲鳴をあげている。
信じられない。
『空っ風』の元ヘッドのこのわたしが悲鳴をあげている。
信じられない。
わたしの眞吾を助けて。
金次を助けて。声だけはだすことができた。
……八重子は目覚めかけてていた。
これは夢だ。夢なんだ。
体は金縛り。まだ動けない。
疲れていた。
たてつづけに、理解をこえた、異常なことが起こりすぎた。
それにしても、これは夢だ。
夢を見ていたのだ。
そして、覚めかけた夢のなかでまだ考えていた。
なぜ吸血鬼なんかが現れたのだ。
あれは吸血鬼だ。まちがいない。






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