11月9日 火曜日
●午前3:45起床。
足もとに気を配りながら階下のDKに降り立つ。
「奥様はバンパイア」のアイデアが浮かんだので寝床でメモをとった。
それだけではこころもとない。
記憶にあるうちにハルに向かおうとすこし早いが起きてしまった。
2時間ほどしかねていなかったが……。
小説を書くのがおもしろくて、ねているどころではない。
●キッチンには天窓がある。
まだ夜なので暗い。
てさぐりで、柱についているスイッチをいれた。
●そこにおもわぬ光景がひろがっていた。
純白のテーブルのうえにバラの花が散っていた。
●薄いアプリコットの花弁が重なっていた。
バラはアルブレヒトデューラーローズ。
テーブルの上の空気を華やいだ濃艶な色合いにそめあげている。
それぞれに重なりちらばったようすはひとの手が介入していない。
――自然な模様をみせていた。
光のあたり具合でできた色の濃淡もいい。
わたしの頭で言語群がすばやく浮かび、その選択をせまってくる。
この瞬間の静謐。
そして散ったバラを惜しみながらも眺めている。
このきぶんを表現するには言葉はあまりに平凡すぎる。
カミサンが起きたらカメラにおさめてもらうことにした。
●バラはなぜ散るのか。
咲きすすみ、落花の時季がきたからだ。
その自己完結的ないさぎよさが怖い。
独語(モノローグ)の崩落。
……ねえ、わたし咲いている。
咲いているのよ。
みてちょうだい。
みてよ。……といったささやきがひとしれず途絶えていた。
さわさわと恐怖がわたしを襲う。
見て、みてといった……モノローグのふいの断絶。
その木霊だけがわたしのこころにひびいている。
●ポットからお湯をそそぎひとりで熱いお茶をのんだ。
pictured by 「猫と亭主とわたし」
あなたのポチが筆者の励みとなります。よろしく。
↓
●午前3:45起床。
足もとに気を配りながら階下のDKに降り立つ。
「奥様はバンパイア」のアイデアが浮かんだので寝床でメモをとった。
それだけではこころもとない。
記憶にあるうちにハルに向かおうとすこし早いが起きてしまった。
2時間ほどしかねていなかったが……。
小説を書くのがおもしろくて、ねているどころではない。
●キッチンには天窓がある。
まだ夜なので暗い。
てさぐりで、柱についているスイッチをいれた。
●そこにおもわぬ光景がひろがっていた。
純白のテーブルのうえにバラの花が散っていた。
●薄いアプリコットの花弁が重なっていた。
バラはアルブレヒトデューラーローズ。
テーブルの上の空気を華やいだ濃艶な色合いにそめあげている。
それぞれに重なりちらばったようすはひとの手が介入していない。
――自然な模様をみせていた。
光のあたり具合でできた色の濃淡もいい。
わたしの頭で言語群がすばやく浮かび、その選択をせまってくる。
この瞬間の静謐。
そして散ったバラを惜しみながらも眺めている。
このきぶんを表現するには言葉はあまりに平凡すぎる。
カミサンが起きたらカメラにおさめてもらうことにした。
●バラはなぜ散るのか。
咲きすすみ、落花の時季がきたからだ。
その自己完結的ないさぎよさが怖い。
独語(モノローグ)の崩落。
……ねえ、わたし咲いている。
咲いているのよ。
みてちょうだい。
みてよ。……といったささやきがひとしれず途絶えていた。
さわさわと恐怖がわたしを襲う。
見て、みてといった……モノローグのふいの断絶。
その木霊だけがわたしのこころにひびいている。
●ポットからお湯をそそぎひとりで熱いお茶をのんだ。
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