田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

走り去った車に「バキャロウ」。麻屋与志夫

2023-11-24 12:36:08 | わが家のニーユス
11月24日 金曜日
走り去った車に「バキャロウ」。
車からとびだした男が。
凄まじい怒声をあびせかけた。
一瞬、桜紅葉の降りかかる落ち葉をふきとばすようないきおいだった。
その男のまわりで足元のおちばがまいあがった。
車からとびだして叫んだ男は中年。
なぜ、男が怒っているのか。
車のハンドルに手をふれたこともない、わたしにはわからなかった。
推測だが――。
止まっている男の車すれすれに。
左折してきた車がスピードもおとさず走りさったから?
なのかな。
わが町の中年の男たちはムダに威勢がいい。
スーパーで買い物をして、リックに詰めるのにとまどっていると。
「どけ」とどなられる。
暴走族華やかなりし時代の、男たちがいまや中年になっている。
わが町の族の総長が夭折したおりには――
関東中の族仲間がなん百台もハンドルをならべてはせさんじたものだった。
塾の教え子の中にも、そうした少年たちがいた。
かれらは、どんな物語を今、生きているのだろうか。

ホリゴタツに。
どっぷりとはまりこんで。
こまめに動くこともできず。
ただただ彼らの勇姿をなつかしく思い浮かべている。


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