田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

吸血鬼浜辺の少女外伝/魔闘学園 麻屋与志夫

2008-08-29 00:16:10 | Weblog


 大バコだ。              
 地方都市。
 宇都宮のクラブにしては。
 かなりの広さがある。
 地下への階段をなんどか曲がった。
 屈折部には監視カメラが。
 めだたないように。
 設置されていた。
 階段を下りる。
 こういう場所にくるとタカコはいきいきとする。
 麻屋はケイコの失踪について不安を感じていた。
 ただごとではない。
 母親が7時ごろ、時間に遅れないように、森山眞弓事務所の前まで車で送ってきた。
 そこからは塾まで、細い路地をはいって10メエトル。
「がんばってくるからね」
 ケイコはヘッドライトの光の中で。
 ひらひらと手をふっていた。
 いつもの送迎風景。       
 ところが、ケイコは塾に現れなかった。
 なにが、ケイコに起きたのか。
 ケイコはどこに消えてしまったのか?  
 彼女の内面でなにか起きている気配は感じられなかった。
 麻屋はそれを恥じた。
 塾がきらいだ。            
 勉強はもうたくさん。         
 フケちゃおう。
 そうした、ようすはみえなかった。
 ケイコがそんなことをするはずがない。
 成績はつねに学年のトップ。
 県内でも再難関校、宇都宮女子高校への合格が期待されていた。                
 失踪の連絡。             
 めんくらった。
 そして、独自の調査にのりだした。
 家族からたのまれたわけではない。
 塾生への愛情がそうさせた。
 学校とはちがう。
 小学1年生から8年間も教えてきたかわいい塾生だ。                 
「おれの生徒にかまうな」        
 というヌベエ先生のセリフソノママノのきもちだ。 
 いい年コイテ……劇画の世界かよ。   
 塾生たちとの共有した時のながれのなかで鹿沼の街は激変してしまった。
 日本で一番有名な鹿沼中学の定期試験撤廃事件がある。
 日変り担任制度がある。
 きまった担任がいない。
 試験もなんにもない。         
 人よんで『ゲゲゲの鬼太郎学校』。
 この街の子が勉強がつらいなんてことがあるわけがない。                 
 どの中学も勉強にはあまり力をいれていない。
 どの中学もクラブ活動は運動に力をいれている。 
 学生にとっては、天国に一番近い街だ。 
 近隣の街から転校希望者が殺到している。
 人気絶頂の中学校のある街だ。

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