日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
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◎本日の想像話「送り主不明」(3/3)

2013年08月17日 | ◎これまでの「OM君」
「どうして殺したんだよ!撃つのは足じゃ無かったのか。」良夫は一也に詰め寄っていた。
二人は部室にいた。
事件から一週間がたっていた。
もうすぐ夏休みも終わる。

「撃ってみたかったんですよ。どうしても。バレルと劇鉄は組み替えれば前歴なしの綺麗な銃になります。どうです。もう一度やりませんか。」
一也は笑っていた。
しかし目は笑っていなかった。
「組み替えればって・・・」
この瞬間、良夫はすべて分かった。
「荷物を送りつけたのは一也、お前か!お前なのか!」
一也の家には金属工作機械が一通り揃っている。
無垢の金属ブロックから部品を削りだしたのは一也だった。
「実弾はどうしたんだ。」
「カートリッジ、弾頭、火薬は僕でも何とか用意できました。問題は信管。でも信管そのものとしては調達できませんが、信感を構成する個々の部品は外国から容易に調達できました。」
「どうして俺を巻き込んだんだ。どうして。」
「共犯者が欲しかった。」
「えっ」
「仲間が欲しかった。これからのために」
「これからって・・・一度きりじゃ無いのか」良夫は叫んだ。
「一度きりじゃあ無いんですよ。これは入り口・・・」
銃口は良夫をとらえていた。
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◎本日の想像話「送り主不明」(2/3)

2013年08月17日 | ◎これまでの「OM君」
次の日の朝、良夫と一也は部室にいた。
手には昨夜の感触が残っている。

バンッ

まばゆい光、反動、跳ね上がるアルミ缶。
良夫は思い出しながらにやけていた。
「凄かったな。」
「実用に耐えるレベルの仕上がりでした。」
と不思議と満足そうにうなずいていた。
「実は、相談があるのですが・・・」
「ん、何だよ。」
薬室とマガジンから弾を抜いた銃で壁にはられた天体図の北極星を狙いながら良夫は聞き返した。
「実は、計画があるのです。」
「何の?」
「強盗の・・・」
「・・・・!」良夫は絶句した。
「僕は小さい頃から星を見ています。
自分の部屋から。
ある時、気づいたのです。
いつも火曜日の夜、深夜2時、向かいのアパートから男が同じ鞄を持ってどこかに行くことに。
ある夜、部屋を抜け出して、その男をつけてみました。
男は銀行の夜間金庫に鞄をほうりこんでいました・・・
どうして定期的に夜間金庫に鞄を放り込むのか。
その日からそのアパートの定点観測が始まりました。
お金回りの良さそうな大人が入れ替わり立ち替わり出入りしていました。
非合法の遊びがその区画でおこなわれているようです。
そこで・・・
その人を襲いませんか?一度だけ」
「えっ何言ってるの、そんなの無理に決まってんじゃん。ムリムリムリ」
「無理ではありません。銃があります。」
「捕まるって。」
「捕まりません。一度だけの犯行なら高校生と強盗と銃は捜査線上に上がってきません。」
「・・・・」
良夫は無言で立ち上がった。
一也をここまで駆り立てる物は何か。
でも一也がそこまでいうのなら一緒にやってもいいと思い始めていた。

火曜日の深夜。
二人で考えたは防犯ビデオに写らないルートでアパートに近づき暗闇に潜んでいた。
時間になった。
エレベーターが上昇し、しばらく後ロビーに鞄を持った男が姿を現した。
目の前を通り過ぎる男。
何の疑いもない動き。
ぶらぶらと歩き去る。
一也は無言で男の後頭部を背後から撃った。
その場に崩れ落ちる男。
良夫は男の手から鞄を奪った。
二人は別々の方向にそのまま逃げた。
鞄には200万。

次の日のニュース
「暴力団同士の抗争。銃により男性死亡。」
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