日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
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◎本日の想像話「あめ」

2014年01月03日 | ◎これまでの「OM君」
こちらを見た。
黒目がちのひとみ。
目が合う。
その後、両手のひらをこちらに見せ、押し戻す仕草をする。
(なんだよおばあちゃん、気持ち悪いんですけど・・・)
信号が変わり、車を発車させた。
出きるだけ前だけを見た。
視界の端には、押し戻す仕草をやめない老婆が見えていた。
背中が真っ赤に見えた。
よく確認は出来なかった。

本日最後の配達先に到着した。
森の中の一軒家。
この雨の中、車外に出るのはイヤだが、仕事なのでしょうがない。
家まであと200mほど小道を徒歩で歩く必要があった。
雨合羽を羽織り歩き出す。
荷物が小さくて助かった。
道は右に大きくカーブしていて家自体は見えない。
フードに雨が激しく当たる。
インターホンを鳴らす。
出ない。
不在だ。
しょうがない、伝票を一枚書いて、荷物を持ち帰ろう。
そう思いながら玄関を見ると灯りがうっすらもれている。
(これ誰かいるんじゃねえ?)
そう思い玄関に近づき、ドアをノックノック。
「ごめんくださーい」
ドアノブを捻った。
ガチャリ
ドアは開いた。
土間は塗れていた。
人の出入りの気配を感じた。
中に入り玄関でもう一度、今度は大きめの声で言った。
「ごめんくださーい」
反応は無い。
雨の音が外から聞こえていた。
廊下の奥をよく見ると、足の指だけが見えた。
白い靴下をはいた親指。
うつ伏せだった。
あわてて靴を脱ぎ、廊下の奥にすすんだ。
「だ、大丈夫ですか」
そこには背中一面が血で真っ赤に染まった老婆が倒れていた。
信号に立っていた老婆。
確認した次の瞬間、背中に痛みを感じた。
「うっ・・・」
何度も何度も。
倒れながら後ろを見た。
そこにはナイフを手にした男がいた。
コメント
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