目覚まし時計が鳴る。
手を伸ばしてけたたましい音を止めた。
雨が降っている。
外の雨音が聞こえた。
仕事だ。
のろのろと起き上がり身支度をする。
テレビをつける。
女子アナが話している。
テレビ局の敷地にタイムカプセルを埋めたニュース。
掘り返すのは20年後。
外に出た。
傘を差し、駅へと向かう。
いつもと同じ毎日。
タイムカードを押し、作業着に着替える。
簡単な仕事だ。
ひたすら二つの部品をはめる。
昼になり、やっと夕方になる。
タイムカードを押す。
いつもと同じだ。
ビールを飲み、眠る。
起きているのか、眠っているのか。
おそらくこれは夢なのだろう。
目の前に男が一人ソファーに座って、手招きしている。
俺はふらふらとソファーに近づき、どさりと座った。
男は仕立ての良いスーツを着ている。
腕時計も靴も高級そうだ。
「毎日、お仕事、精が出ますね」
「はあ」
「あっ失礼しました。私、こういうものです」
男は名刺を取り出した。
そこにはこう書かれていた。
「タイムバイヤー 阿久 真(あく しん)」
「はあ」
「まあ、お酒でもどうですか」
いつの間にかテーブルが現れ、氷水で満たされたバケツにうまそうなシャンパンが冷やされている。
「いただきます」
「そうこなくっちゃ」
そう言いながら阿久は繊細な手つきでシャンパンを開け背の高いグラスにピンクかかった液体を注いだ。
「私の生業は時間の売買でして…」
「時間の売買」
「はいそうです。不要の時間を買い取らせていただきます。毎日、同じ作業の時間。これいらないでしょう」
「はあ、まあ」
「なら、売りましょう。あなたの定年までの時間、約20年買います。1年1億。20億円ではどうでしょう」
「どうせおもしろくもない人生だ。よし売った。(夢の中の話だろどうせ)」
「そうですか、それはありがとうございます。それでは手続きに入りますのでこの書類にサインをしていただきます。はいはい、そうです。そことそこです。ではもう一度お眠り下さい」
ひたいに手をかざされた途端、意識は無くなった。
目覚まし時計が鳴る。
手を伸ばしてけたたましい音を止めた。
雨が降っている。
外の雨音が聞こえた。
昨夜はおかしな夢を見た。
さあ、仕事だ。
のろのろと起きあがる。
体が重い。
体調が悪いのか。
息を整え、テレビをつける。
女子アナが変わった帽子をかぶっている。
ひし形。
20年前に埋めたタイムカプセルを掘り返したニュース。
ん?
タイムカプセル。
昨日埋めたんじゃなかったかな。
たしか20年後に掘り返すって言っていたな。
心臓の鼓動が激しくなる。
この体の重さは…
洗面台に走る。
体が重い。
鏡に映る自分の姿。
初老の男。
これは俺か。
振り返りリビングのテーブルを見た。
大量の段ボールがうずたかく置かれている。
段ボールのひとつをあける。
中には札束がぎっしり入っている。
これ全部現金か。
きっと20億だな。
うれしいか、うれしくないのか分からない。
たばこを吸いたい。
ライターと財布をポケットに入れ、とりあえず寝間着のまま外に出た。
変わらない風景。
変わったのは俺か…。
たばこの販売機の前に立つ。
見なれないたばこが並んでいる。
1000円札を財布から取り出し自販機に入れる。
ボタンは光らない。
おかしいな。
金額を見る。
5,000,000円
指で0を数える。
5百万…
絶句する。
これはインフレだ。
20億もらっても、インフレの社会でどれくらい生活出来るだろうか。
背筋が寒くなった。
手を伸ばしてけたたましい音を止めた。
雨が降っている。
外の雨音が聞こえた。
仕事だ。
のろのろと起き上がり身支度をする。
テレビをつける。
女子アナが話している。
テレビ局の敷地にタイムカプセルを埋めたニュース。
掘り返すのは20年後。
外に出た。
傘を差し、駅へと向かう。
いつもと同じ毎日。
タイムカードを押し、作業着に着替える。
簡単な仕事だ。
ひたすら二つの部品をはめる。
昼になり、やっと夕方になる。
タイムカードを押す。
いつもと同じだ。
ビールを飲み、眠る。
起きているのか、眠っているのか。
おそらくこれは夢なのだろう。
目の前に男が一人ソファーに座って、手招きしている。
俺はふらふらとソファーに近づき、どさりと座った。
男は仕立ての良いスーツを着ている。
腕時計も靴も高級そうだ。
「毎日、お仕事、精が出ますね」
「はあ」
「あっ失礼しました。私、こういうものです」
男は名刺を取り出した。
そこにはこう書かれていた。
「タイムバイヤー 阿久 真(あく しん)」
「はあ」
「まあ、お酒でもどうですか」
いつの間にかテーブルが現れ、氷水で満たされたバケツにうまそうなシャンパンが冷やされている。
「いただきます」
「そうこなくっちゃ」
そう言いながら阿久は繊細な手つきでシャンパンを開け背の高いグラスにピンクかかった液体を注いだ。
「私の生業は時間の売買でして…」
「時間の売買」
「はいそうです。不要の時間を買い取らせていただきます。毎日、同じ作業の時間。これいらないでしょう」
「はあ、まあ」
「なら、売りましょう。あなたの定年までの時間、約20年買います。1年1億。20億円ではどうでしょう」
「どうせおもしろくもない人生だ。よし売った。(夢の中の話だろどうせ)」
「そうですか、それはありがとうございます。それでは手続きに入りますのでこの書類にサインをしていただきます。はいはい、そうです。そことそこです。ではもう一度お眠り下さい」
ひたいに手をかざされた途端、意識は無くなった。
目覚まし時計が鳴る。
手を伸ばしてけたたましい音を止めた。
雨が降っている。
外の雨音が聞こえた。
昨夜はおかしな夢を見た。
さあ、仕事だ。
のろのろと起きあがる。
体が重い。
体調が悪いのか。
息を整え、テレビをつける。
女子アナが変わった帽子をかぶっている。
ひし形。
20年前に埋めたタイムカプセルを掘り返したニュース。
ん?
タイムカプセル。
昨日埋めたんじゃなかったかな。
たしか20年後に掘り返すって言っていたな。
心臓の鼓動が激しくなる。
この体の重さは…
洗面台に走る。
体が重い。
鏡に映る自分の姿。
初老の男。
これは俺か。
振り返りリビングのテーブルを見た。
大量の段ボールがうずたかく置かれている。
段ボールのひとつをあける。
中には札束がぎっしり入っている。
これ全部現金か。
きっと20億だな。
うれしいか、うれしくないのか分からない。
たばこを吸いたい。
ライターと財布をポケットに入れ、とりあえず寝間着のまま外に出た。
変わらない風景。
変わったのは俺か…。
たばこの販売機の前に立つ。
見なれないたばこが並んでいる。
1000円札を財布から取り出し自販機に入れる。
ボタンは光らない。
おかしいな。
金額を見る。
5,000,000円
指で0を数える。
5百万…
絶句する。
これはインフレだ。
20億もらっても、インフレの社会でどれくらい生活出来るだろうか。
背筋が寒くなった。