日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
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◎本日の空想劇場「塩ラーメン」

2014年09月27日 | ◎これまでの「OM君」
603号室の男は鍋に水を入れ、コンロに火を点けた。
お湯が沸くまでの間テーブルの上に置いてある新聞を読んだ。
見出しには「増える偶然の一致」と書かれている。
ある電車に乗り合わせた1両全員の名字が偶然「井上さん」だった。
あるカフェで4日間連続女性客しか来店しなかった。
など全国で奇妙な偶然が増えているという記事だった。
「へえ、そんなこともあるもんかね…」
独り言をぼそりとつぶやくと、「函館一番」塩ラーメンの袋を開ける。
男は四角い乾燥麺を沸騰したお湯に投入した。
1分間、麺ほぐした後、卵を割り入れ2分間待つ。
合計3分ちょいで男は乾燥スープを鍋に入れた。
よくまぜた後、完成したラーメンをどんぶりにうつした。
ラーメンを食べる男。
男はよほど腹が減っていたらしい。
4回程度、箸を上下させただけで器には麺がほとんどなくなった。
「うまい」
そう男はつぶやいた。


マンションをながめている目があった。
その目は10階建てマンションの5階部分にあった。
5階部分、ベランダの外。
「クククク…」
どうやら壁を見透かせるらしい。
全住人の動きを観察している。
というか、
全住人を動かした。
その動きを満足げに見ていた。
函館一番塩ラーメンを約3分で作り上げ、箸の上下4回で食べきり、「うまい」と言う。
意味の無いマスゲームを眺めて宙に浮いていた。
明日は、ここの住人全員にレトルトカレーを同時刻、同時進行で食べさせようと「それ」は考えていた。
コメント
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