日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
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◎本日のお話「スピード取締りの取引」

2016年07月10日 | ◎これまでの「OM君」
前方には赤い旗を振っている警察官がいる。
しまった
瞬間的にそう思ったが時すでに遅し。
シートベルトは着用しているのでスピード違反で止められたに違いない。
案内されるまま進行すると、空き地にパトカーが止まっていた。
やはりそうか。
点数はあと何点残っていたかな。
罰金はいくらになるのか。
顔面は蒼白だ。
思考は停止した。

黒いサングラスをかけた警察官が近づいてきたので車の窓を空けた。
「あなたはこの地区のスピード違反取締りで止められた民間人5000人目となります。おめでとうございます」
その警察官の目元はサングラスのせいでよく見えない。
しかし口元は笑みを浮かべている。
発した内容がゆるゆると俺の思考に組み込まれた。
血が沸騰するのを感じた。
「おめでとうってどういう事ですか!」
黒めがねは慌てて取り繕った。
「イヤイヤ、ご主人、そう興奮なされずにお聞き下さい。本日あなたは時速60km制限のバイパスを85kmで走っておられた。点数で3点、反則金は25000円になります。どうです、痛いでしょう」
意味ありげに黒メガネはにやりと笑った。
「そりゃあ痛いですよ」
「じゃじゃじゃあですよ、5000人目の特典を利用された方がよろしいのでは」
「特典ですか」
「そうです。特典です。少し捜査にご協力していただきたい。その事実をだれにも言わないと約束願えれば、先ほどの罰則及び罰金はは免除となります。どうです悪い話じゃあ無いでしょう。」
わたしには選択する余地は無かった。

黒メガネに説明を受けた。
まずカードを渡された。
現金引き出し用のカードだ。
そして駅前のATMで現金を引き出すように指示された。
引き出した現金は速やかに渡すよう言われた。
どうも現在調査中の容疑者が使用していたカードらしく、本当に使えるかの調査をするとの事だった。

私は駅前の駐車場に自分の車を止めた。
そしてATMに向かった。

私は黒メガネの視線を背中に感じながら地下道を降りた。
そして外から見えない位置まで来たとたん猛ダッシュした。

息が切れる。
足がもつれる。
そんな事は気にしていられない。
ありったけの力で地下道の向こう側にある派出所に飛び込んだ。
私の必死の形相を見ておまわりさんはびっくりした。


一通りの説明をした。
そして黒メガネとの待ち合わせ場所を伝えた。
この場で待機するように言われる。

派出所を飛び出しながら振り返り、お巡りさんは、私に言った。
交通違反で取引など絶対にあり得ません。
私がその黒メガネをとっちめますと…
コメント
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