オレンジな日々

広島在住のシンガーソングライター&ピアニスト
三輪真理(マリ)のブログです。
音楽大好きな日常を綴っています。

映画『BLUE GIANT』(ネタバレあり)

2023-02-17 | おすすめ映画

Facebookでお知らせを知って、映画『BLUE GIANT』を観に行きました。
2013〜2016年にビッグコミックで連載された漫画のアニメ化で、音楽が上原ひろみ!!
これは行くしかない!!ということで初日に行ってきました。


公式ページはこちら


すごい迫力で本当に感動でしたーー。
原作は読んでないので、仙台出身の主人公が「世界一のジャズプレーヤーになる」という目標を掲げて成長していく物語、くらいしか認識はなかったんですが、音楽やってる人だったらきっと胸がぐっと熱くなるセリフや場面がいっぱいあるんじゃないかなー。
ラストの演奏は本当に涙もの。。。


ストーリーもさることながら、ライブのシーンが全体の4分の1を占めるということで、ライブシーンの描き方もなかなか素晴らしいなあと思います。


ここからはネタバレ含みます。
原作は音楽の漫画と言っても曲があるわけじゃいので、沢辺雪祈(ゆきのり)が作曲したというJASSのオリジナル曲も原作には音がないわけで、それがどんな曲かで映画の出来不出来が左右されてしまうわけですが、上原ひろみの楽曲がどれも良くて、それがこの映画を一層素晴らしいものにしてると思います。


特に素晴らしいのはソロ演奏場面。
「モーションキャプチャー」というCGの手法で、3人の音とアニメーションに違和感がないように指の動き、サックスや体の動き、スティックやペダルの動きも丁寧に作られているところ。
まるで実際のライブを見ているかのように、自然で迫力のある画が作られているところが本当にすごいなと思います。


そのほかには、ドラムの玉田が全くのド素人から猛練習ですごい演奏をできるまで成長していく過程。
ドラマーの石若駿さんの素人ドラムぶりがこれまた素晴らしい。
そしてピアノレスの宮本大とサックスと玉田のドラムとのデュオ演奏の時の猛烈なソロ。
ここは本当に劇場の大音量で聴いてほしいところです。


ラストの涙ものの演奏は原作にはない映画のオリジナルだそうですが、
病院から「So Blue」にやってきた右手に包帯をした雪祈がアンコールで1曲だけ一緒に演奏するわけですが、そこでの演奏は当然だけど上原ひろみも全て左手だけ演奏しています。それがねえ、、また泣けるわけですよ。左手のみでのピアノソロだけどもちろんちゃんとソロとして成立していて。
ピアノソロ明けのサックスソロに本当泣けます。
本当に3人とも最初で最後の1回きりの演奏を全力で燃やし尽くしているという熱い気持ちが伝わってきますね。
上原ひろみが左手だけでソロ演奏をすることはこの映画以外ではないと思いますから(その必要もないしね)、とっても貴重な演奏シーンだと思います。


そんなわけで、見どころいっぱいの『BLUE GIANT』。
ぜひ公開中に劇場で大画面、大音量でご覧ください。


予告編はこちら。




映画の中で演奏されるJASSのオリジナル曲「N.E.W.」めっちゃカッコいい!!




サントラもおすすめです!!


『ピカソ展〜青の時代を超えて』@ひろしま美術館

2023-02-15 | 写真・絵画

ひろしま美術館で開催中の『ピカソ展〜青の時代を超えて』を見に行きました。
ピカソ展は以前に東京で「幻のジャクリーヌコレクション」を見に行ったのですが、今回は全く違った内容の展覧会でした。


以下HPとチラシの案内文より。


【転載開始】

誰もが知る天才画家パブロ・ピカソ(1881-1973)。彼の作品は時代ごとに様々に変容し、91年の生涯を通して10万点近くの作品を残したことで知られています。20代前半の若きピカソは、青色の絵の具を用いて人生の悲哀や葛藤をメランコリックに描きだし、この数年間は「青の時代」と呼ばれました。その後ピカソは、彼の原点とされるこの「青の時代」を超えて、実験的なキュビスムの探究、さらに円熟期から晩年へと生涯を通じて様々な試みを行っています。
本展覧会は、国内でも屈指のピカソ・コレクションを誇るポーラ美術館とひろしま美術館の共同企画展です。二館の珠玉のピカソ・コレクションに、それぞれの時代を彩る国内外の貴重な作品群を加えた約70点の作品で、ピカソの幅広い創作活動を紹介します。また本展では、両館がこれまで欧米の美術館の協力を得て深めてきた最新の科学技術を用いた調査や研究を通して、ピカソの制作のプロセスに焦点を当て、20 世紀の巨匠が遺した創造の軌跡に迫ります。

【転載終了】


今回一部を除いて写真撮影可能だったので、写真も載せてみます。
     

     

  

    

 

ピカソの20代に始まる「青の時代」。それは本人によれば親友の死をきっかけにしたものと言われているそうですがその時代、「青」という色を通してピカソが「貧困」「孤独」「悲しみ」そして「母性」といった人々の内面を描き出すことに注力していたことがうかがえます。ピカソが当時影響を受けていた、バルセロナの画家、サンティアゴ・ルシニョとラモン・カザスという2人の作品も同時に展示されていることによって、ピカソの絵がどのように変化していったかもうかがい知ることができました。


「青の時代」から「バラ色の時代」、そして「キュビズム」に至る変化。
その間に制作された、数々の版画、彫刻、パステル、などなど。


そして今回、X線撮影によって明らかになった、完成した絵の下に描かれていた別の絵。
天才、巨匠と言われたピカソも若き日、困窮の中で、カンヴァスを再利用しながら何点もの作品を模索しながら描いていた様子も知ることができます。


ピカソが長い人生の中で出会う女たちや多くの画家たちから影響を受けながら、そして2つの世界大戦の中を生き抜いて、命の危険が及ぶ中でも決して制作を止めなかったこと。
日記のように絵を描いたと言われるピカソでも、当然そこには人間ピカソとしての幸福と苦悩があり、それをそのまま作品へエネルギーとして注ぎ込み続けたこと。
だからこそその作品が多くの人々の心を打つのかもしれないなあと改めて思います。


ひろしま美術館、ポーラ美術館、バルセロナ・ピカソ美術館はじめ、国内外の重要作品約70点を集めた展覧会。
とっても見応えがありました。


音楽も絵画も、自分の内面を見つめてそこから何かを創り出すもの。
ピカソの情熱に触れたことで私ももっともっと作品を作りたいと改めて思いました。
ますます精進します!!


図録もとっても良かったです。
ひろしま美術館で買いそびれてレクト広島で買いました。



『ピカソ展ー青の時代を超えて』はひろしま美術館にて5月28日まで。
会期中にもう一回行きたいと思っています。
皆さまもぜひ!!

 


映画『レジェンド&バタフライ』(ネタバレあり)

2023-02-01 | おすすめ映画

映画ファンの日、ということで『レジェンド&バタフライ』を観にいきました。
ご存知、木村拓哉と綾瀬はるかによる織田信長と濃姫の物語。
期待以上に面白かったです!!
ネタバレありで感想を書いてみたいと思います。


まずは公式サイトの映画紹介文より。


【転載開始】
政略結婚でむずばれた、格好ばかりの織田信長(木村拓哉)と密かに信長暗殺を目論む・濃姫(綾瀬はるか)は、全く気が合わない水と油の関係。ある日濃姫の祖国で内乱が起こり父が命を落とす。自身の存在意義を失い自害しようとする彼女に、再び生きる意味と場所を与えたのは、他でもない信長だった。そんな信長もまた、大軍に攻められ窮地に立たされた時、濃姫にだけは弱音を吐く。自暴自棄になる彼を濃姫はこぶし、二人は桶狭間の激戦を奇跡的に勝ち抜く。これをきっかけに芽生えた絆は更に強くなり、いつしか天下統一が二人の夢となる。しかし、戦さに次ぐ戦さの中で、信長は非常な“魔王”へと変貌してゆく。本当の信長を知る濃姫は、引き止めようと心を砕くが、運命は容赦無く<本能寺>へと向かっていく。<魔王>と恐れられた信長と、<蝶>のように自由を求めた濃姫。激動の30年を共に駆け抜けた二人が見ていた、“本当の夢”とはーー。
【転載終了】


ここからはネタバレ注意です(以下、ネタバレいやな人は読まないでね)。


まず、制作費20億円という巨大な制作費をかけているだけあってセットやロケがすごい。
エキストラの数も半端ない多さ。最近の映画ならCGでやっちゃうだろうなというシーンもかなりリアルに役者さん使ってるなあという印象でした。
殺陣(たて)のシーンもかなり激しかった。京都に迎え入れられた二人がお寺をこっそり抜け出して、町民になりすまして伴天連(バテレン)の音楽に合わせて踊ったり、金平糖を買ったりするほのぼのシーンから一転して、スられた財布と金平糖を取り返しに行った信長と濃姫が貧民たちに刀を抜いてしまうシーンなどは、見ていて痛々しく思えるほど激しいものでした。
それから、比叡山の延暦寺に攻め入った延暦寺の焼き討ち、明智光秀が本能寺に攻め入る本能寺の変、などは炎がこれでもかというくらい使われていて、これもどうやって撮ったのかと不思議に思えるくらい。


馬に乗って走ったり弓を引いたり、役者さんって本当に何でもやるんですね、、と感心したり。
私も一度だけ乗馬を経験したことがありますが、映画の中で役者さんがいとも簡単に馬を乗りこなすんだけど、あんなに走るのは絶対にムリ〜〜と思ってしまいます。


史実に基づいたストーリーながら、オリジナルで印象的だったのは最後の最後のシーン。
本能寺に立て籠った信長がいよいよ終わりかと思われた時、寺から逃げ出して病床の濃姫を迎えに行き、二人で異国の船に乗って海の向こうの地を目指すというシーン。映画「タイタニック」を思わせるビジュアルの美しさにホッとさせられるシーンです。信長が最期に観た一瞬の白昼夢。信長と濃姫の夢を描く独自のストーリーではありますが、このシーンを挟むことで信長と濃姫の非業の死の重苦しさも少し和らいだ印象です。


木村拓哉も綾瀬はるかもそのほかの俳優さんもベテラン揃いで、本当に観ていて入り込める映画でした。
若い頃の織田信長の登場シーンはチャラチャラしていて、「あらあら、やっぱりキムタクだね〜」と思いましたが、それだけに後半の迫真に迫るシーンとの対比が良かった。綾瀬はるかは最初から最後までキリッとして美しかったですね。周りを取り囲む中谷美紀や伊藤英明の演技も良かったし、圧巻だったのは斎藤工の徳川家康。
エンドロールで名前を見て、「え〜〜〜〜!?!?」ってなりました。
特殊メイクで全然わからなかった!!さすがは怪優です。


というわけで、あっという間の3時間。本当に見応えのある映画でした。
戦国時代から安土桃山時代、そして江戸時代。私の中では、日本の歴史の教科書の中にしか存在しない物語だったけれど、その時代にも人は生きて夢を描いて絆を結んで、喜んだり悲しんだり、笑ったり泣いたりしてたんだなとあらためて思います。


その時代を生きた命があって今がある。
多くの人たちの犠牲の上に今の平和な日本があるのだから、この平和に感謝して大切にしていきたい、そして世界中が平和になるように祈り続けたいと改めて思いました。
「我、人に非ず」と言った織田信長だけど、やはり多くの人を率いることができた理由は、やはりその人としてのカリスマ性と魅力だったんだろうと思わされます。


予告動画はこちら。
東映が総力を上げて作ったと思われる映画『レジェンド&バタフライ』。
これはやはり大画面の大迫力で観られることをオススメします。
いや〜〜、映画って本当にいいものですよね。