『気狂いピエロ』や『勝手にしやがれ』で有名なフランスの映画監督ジャン=リュック・ゴダールの最新作で最後の作品と言われている『さらば、愛の言葉よ』を観に行きました。
ゴダールの3Dと聞いて急に行くことにしたので、あまり予備知識もないまま。
上映はお気に入りの映画館、八丁座。
「よし観るぞ」と勢い込んだものの、いざ見終わったあとの感想は、
「サパーリワカラナイ」(笑)。
「わからない」ビミョーな感覚をしばらく味わうためにすぐさま解説は読まずにいましたが、あまりにもわからなすぎるのでついにネットを検索(笑)。
ココとかココとかココを読んでちょっと納得。
You Tubeに予告編と解説があったので以下にご紹介しますね。
【転載開始】
これはゴダールの遺言である ――― ル・モンド紙
今年のカンヌ国際映画祭でも話題の中心だった、83歳のヌーヴェルヴァーグの巨匠、ジャン=リュック・ゴダールが初めて“3D”で長編を描いた野心作に、カンヌ国際映画祭審査員特別賞のほか、ゴダール(とそのパートナーであるアンヌ=マリー)の愛犬、ロクシー・ミエヴィルに “パルムドッグ審査員特別賞”が授与された。半世紀以上も前、スタジオ撮影が当たり前の時代に、『勝手にしやがれ』(59)でカメラを屋外に持ち出し、街の空気感をそのままスクリーンに映し出して世間を驚かせ、カメラワークや編集、演出、台詞、俳優の扱いなど多くの革命を起こしたゴダールが今、新旧の技術を斬新に組み合わせた“映画芸術”として、3Dの可能性に挑み、遊び心たっぷりに3Dという手法を変革する衝撃作!60年代から半世紀以上、既存の手法にとらわれず、常に斬新な(新しい)表現で映画界を牽引し続ける巨匠が今度は、3Dで未来の扉を開いた。「常に処女作を作る」と公言するゴダールの“新しい波(=ヌーヴェルヴァーグ)”の進化形と呼ぶべき本作は、フランスのみならずニューヨークでも大ヒットし、若い世代の熱い視線が注がれている。
【転載終了】
なるほどねーー。
「ヌーヴェルヴァーグ」というのは特定の時代の作品を指すわけではなくひとつの「生き方」なんですね。83歳のゴダール恐るべし。
個人的には、枯れた切り花とか洗濯物とか足の裏とか血液とかトイレの排泄シーンとか、普通映画ではあえて撮らないであろうシーンがこれでもかと出てくるところとか、ずっと傾いたままの画面とか、思わず3D眼鏡をかけ直したくなる奇妙な3Dの合成とか、バチっと寸断される音声とか音楽とか・・・始終落ち着かないままの69分にハラハラ・ドキドキ・オロオロさせられっぱなしでした。
『さらば、愛の言葉よ』は原題をタイトル通りに訳すと『さらば、言葉よ』らしいです。
言葉というものが概念付けた「美」と「醜」、あるいは「正」と「誤」、「2D」と「3D」。
その人の概念そのものに揺さぶりをかけてくるゴダールの映像は観客を不安の渦に巻き込みます。およそ「映画とはこういうもの」というルールや概念に真っ向から戦いを挑んだゴダールのチャレンジ精神に驚くばかりです。
音楽の使い方ではレオス・カラックスの『汚れた血』(1986)を思い出しました。
繰り返し登場する印象的な弦の曲はチャイコフスキーのスラブ行進曲の冒頭の音楽らしいです。
スラブ人キリスト教徒の追悼演奏会のために書かれたというこの曲を何度も使用した意図はゴダール流のメタファ(隠喩)なんですかね。
この辺りはあまりにも知識がないのでもうちょっと勉強します。
あっという間の69分。映画を見終わった後に狐につままれたような感じで無言で席を立つ気分。このめったにできない感覚を味わいたい方はぜひ映画館へ(笑)。
「想像力を欠くすべての人は現実へと逃避する」ーージャン=リュック・ゴダール
ぜひ想像力を総動員してご覧下さい。