写真雑誌『PHaT PHOTO(ファットフォト)』の編集長で写真家のテラウチマサト先生が写真集を出された。
富士山を撮った写真。
富士山の写真集なんてそれこそうんざりするほどあって、誰が撮っても富士山は富士山だと思うところ。漢字で書いても左右対称でまるで「富士山」ってあの形そのもの。
ところがテラウチ先生の富士山写真はひと味もふた味も違った。
左右対称ばかりではない富士の写真。
1枚目の写真なんて平山郁夫の日本画のよう。
これが写真とは・・。ため息が出る。
テラウチ先生のPHaT PHOTO主催の写真教室には足掛け3年通った。
ずっとやってみたかった写真を一流の人の手ほどきで学んでみたかった。
あとからわかったことだけど日本で億を稼ぐ写真家は片手の指でおさまるくらいしかいなくて、テラウチ先生はそのお一人だった。
先生の言葉から得られたものは計り知れない。
「感性を磨くということ」「見る人を子供扱いしない写真」「tipped」「赤い牛の法則」「音の聴こえる写真」・・etc.
教室の打ち上げで一緒に飲んだりするとその席でいろんな話をして下さった。
写真家って思ったより饒舌なんだって感じたのを覚えている。
一流の人はおしなべて饒舌だと思う。
自分の全く考えを話さずに他人と一緒に仕事はできない。
1枚1枚の写真からしんと静まり返った自然の中にカメラを据えて富士山に対峙するテラウチ先生の姿を感じる。
どこまでも圧倒的な富士山に挑むレンズ。
先生がよく言われていた「決して被写体に「撮らされない」こと」。
富士山を相手にそれがどれほどのことかわかる。
心が高くなる。
私も音楽に対してまっすぐ誠実でいようと思う。
1つ1つの作品に真摯に向き合い最高の芸術として届けよう。
気持ちを新たにしてもらえた。
写真集なんてどれも同じ。そう思ってる人にぜひ手に取って見て欲しいです。
テラウチマサト先生の写真集『F(エフ)見上げればいつも』はこちらから購入できます。