部屋探しに奔走している。
東京にいるのなら都心にしか住まわない、と豪語してきた私である。
今も山手線のど真ん中に住んでいる。
JRか東京メトロが最寄駅で、できれば山手線内が良い。
今回も最初は都心を基準に探していて、またそれと同じくらい「広さ、心地よさ」を重要視している。
「広さ」については、書道が少し自由な感じでやりたい、という理由なので、今よりも少し広い程度ではだめで、そうすると今よりも10平米程度大きな部屋でないとならない。
家賃は今よりも1万5千円まで上げようかと思っている。
「心地よさ」については、窓からの眺めが広く抜けている"解放感"とまで行かなくても、風が通り抜ける"抜け感"がほしい。
空気がこもらなくて、明るい感じ。
広さが最も価値が高い東京では、この条件を入れると都心で1万5千円程度の家賃アップでそれを叶えることが非常に難しい。
当たり前と言えば当たり前だけれど、更新月でもない今の状況で限界まで良さを求めたいと思っているので妥協点を付けられずにいる。
他にも、自転車置き場、マンション専用ゴミ捨て場、バス・トイレ別などの比較的優先順位の高いことはあるのだけど、これらは最終判断まで見ないようにするしかなくなっている。
また、築年数についても私は妥協しようと思っていたのだけど、結局何件か内覧をしてみて、古いというか汚いことが我慢ならないということもわかった。
内装がきれいにリフォームされていても、外観がどうしようもなく古びているのも、私にとっては大きなマイナスであるようだった。
それに、デザイナーズ物件だとか、私には似合わないと思っていたのだけど、作り手の頑固さが見えるようなデザイナーズ物件に惹かれてしまうこともわかった。
結局のところ、内覧して「ここがいい」と、そう思ってしまう、あるいは思えることがどんな条件すらも吹き飛ばす決定打になる。
山手線内、という条件を取っ払って不動産屋さんと一緒に物件を見てみる。
別に池袋も全然好きではないけれど、渋谷が拠点よりは池袋が拠点になった方が断然良い。
私の元々の引っ越したいエリアの物件を1件、今まで住みたいともその検討をしたこともない私鉄の駅のデザイナーズ物件を2件、内覧に行く。
この3件は今まで見た中で一番良かった。
それぞれ、広い、かっこいい、風が抜ける、想定家賃内のどれかがある。
キレイさ、広さはどれもクリア。
ならば引っ越したいエリアの物件が良いのだけれど、4階でエレベーターがない。
風通しはぎりぎりでクリア、そんなに明るくはなく、オートロックも、自転車置き場も、専用ゴミ捨て場もない。
しかし共用部階段の暗さは海外のアパートのような雰囲気がして私は好感を持てた。
部屋内の設備も申し分なくて、広い。
デザイナーズ物件は、都心の中心駅に背を向けて走ること15分あまり。
こんなところに住むなんて、と思っていたけれど、物件は気が引けるくらい、圧倒的にかっこいい。
オートロックも自転車置き場も専用ゴミ置き場もあって、風も抜ける、その上、新築。
メリットデメリットがあまりに五分で、「他の人に取られてしまうかもしれませんよ」という不動産屋さんの話も重々承知の上で「少し寝かす時間をください」と内覧を終えた。
私鉄のそこまでエリアを広げるのならば、もっと他の場所でもいいところはあるのではという新しい考えも生まれてしまった。
お昼ごはんも食べ損ねて、あまりに疲弊して家に着いた。
一日中歩き回って都内を移動して、しかもずっと不動産屋さんと一緒に喋っているわけだから当然疲れる。
ちなみに今回の不動産屋さんは車移動をしない。
これは、実際に駅からの感覚を知れるという点では良いし、単純に何件か回ろうと思うと時間がかかることと疲れるという点では良くない。
酷く疲れていて、酷くお腹を空かせていて、何を食べようか悩む。
幸い冷蔵庫には昨日買ったひき肉、キャベツ、卵、玉ねぎ、えのき、長芋どの食材がある。
少し思考を巡らせてこれらで作れる美味しいもの・・と考えられそうにないほど疲れていたので、とりあえず卵とひき肉以外をざく切りにして全てをフライパンに放り込み、塩コショウと醤油とお酒を適当に入れて、全体に火が入ったところで卵をかき混ぜて流し込む。
これはなんだろう、適当なオムレツ、か。
お腹が空いていたからか、先日ようやく買ったお酒を入れたからか、美味しいものになった。
冷蔵庫のものも片付いて、満足である。
物件の資料を見ながら、いただいた煎茶を淹れる。
煎茶はあまり熱い湯で淹れてはいけないということを微かに思い出しながら、ぐらぐらと沸いたお湯を注ぐ。
南部鉄器の急須も持っているのだけれど、重くて使い勝手が良くないので、私はどんなお茶を淹れるときもプレス式のティーポットを使う。
ガラスなので、お茶の濃さがどのくらい出たかわかるのも良い。
苦くて、ほんのり甘くて、お茶の香りがして。
きちんと美味しい、すごく美味しい。
本当に美味しい!と、この煎茶をくれた友人に連絡を入れる。
そして、調理の匂いを消したくて、何か粗品の古い煎茶をフライパンで煎る。
熱し過ぎて煙が上がり、香ばしい香りを通り越して焦げ臭くなる。
東京にいるのなら都心にしか住まわない、と豪語してきた私である。
今も山手線のど真ん中に住んでいる。
JRか東京メトロが最寄駅で、できれば山手線内が良い。
今回も最初は都心を基準に探していて、またそれと同じくらい「広さ、心地よさ」を重要視している。
「広さ」については、書道が少し自由な感じでやりたい、という理由なので、今よりも少し広い程度ではだめで、そうすると今よりも10平米程度大きな部屋でないとならない。
家賃は今よりも1万5千円まで上げようかと思っている。
「心地よさ」については、窓からの眺めが広く抜けている"解放感"とまで行かなくても、風が通り抜ける"抜け感"がほしい。
空気がこもらなくて、明るい感じ。
広さが最も価値が高い東京では、この条件を入れると都心で1万5千円程度の家賃アップでそれを叶えることが非常に難しい。
当たり前と言えば当たり前だけれど、更新月でもない今の状況で限界まで良さを求めたいと思っているので妥協点を付けられずにいる。
他にも、自転車置き場、マンション専用ゴミ捨て場、バス・トイレ別などの比較的優先順位の高いことはあるのだけど、これらは最終判断まで見ないようにするしかなくなっている。
また、築年数についても私は妥協しようと思っていたのだけど、結局何件か内覧をしてみて、古いというか汚いことが我慢ならないということもわかった。
内装がきれいにリフォームされていても、外観がどうしようもなく古びているのも、私にとっては大きなマイナスであるようだった。
それに、デザイナーズ物件だとか、私には似合わないと思っていたのだけど、作り手の頑固さが見えるようなデザイナーズ物件に惹かれてしまうこともわかった。
結局のところ、内覧して「ここがいい」と、そう思ってしまう、あるいは思えることがどんな条件すらも吹き飛ばす決定打になる。
山手線内、という条件を取っ払って不動産屋さんと一緒に物件を見てみる。
別に池袋も全然好きではないけれど、渋谷が拠点よりは池袋が拠点になった方が断然良い。
私の元々の引っ越したいエリアの物件を1件、今まで住みたいともその検討をしたこともない私鉄の駅のデザイナーズ物件を2件、内覧に行く。
この3件は今まで見た中で一番良かった。
それぞれ、広い、かっこいい、風が抜ける、想定家賃内のどれかがある。
キレイさ、広さはどれもクリア。
ならば引っ越したいエリアの物件が良いのだけれど、4階でエレベーターがない。
風通しはぎりぎりでクリア、そんなに明るくはなく、オートロックも、自転車置き場も、専用ゴミ捨て場もない。
しかし共用部階段の暗さは海外のアパートのような雰囲気がして私は好感を持てた。
部屋内の設備も申し分なくて、広い。
デザイナーズ物件は、都心の中心駅に背を向けて走ること15分あまり。
こんなところに住むなんて、と思っていたけれど、物件は気が引けるくらい、圧倒的にかっこいい。
オートロックも自転車置き場も専用ゴミ置き場もあって、風も抜ける、その上、新築。
メリットデメリットがあまりに五分で、「他の人に取られてしまうかもしれませんよ」という不動産屋さんの話も重々承知の上で「少し寝かす時間をください」と内覧を終えた。
私鉄のそこまでエリアを広げるのならば、もっと他の場所でもいいところはあるのではという新しい考えも生まれてしまった。
お昼ごはんも食べ損ねて、あまりに疲弊して家に着いた。
一日中歩き回って都内を移動して、しかもずっと不動産屋さんと一緒に喋っているわけだから当然疲れる。
ちなみに今回の不動産屋さんは車移動をしない。
これは、実際に駅からの感覚を知れるという点では良いし、単純に何件か回ろうと思うと時間がかかることと疲れるという点では良くない。
酷く疲れていて、酷くお腹を空かせていて、何を食べようか悩む。
幸い冷蔵庫には昨日買ったひき肉、キャベツ、卵、玉ねぎ、えのき、長芋どの食材がある。
少し思考を巡らせてこれらで作れる美味しいもの・・と考えられそうにないほど疲れていたので、とりあえず卵とひき肉以外をざく切りにして全てをフライパンに放り込み、塩コショウと醤油とお酒を適当に入れて、全体に火が入ったところで卵をかき混ぜて流し込む。
これはなんだろう、適当なオムレツ、か。
お腹が空いていたからか、先日ようやく買ったお酒を入れたからか、美味しいものになった。
冷蔵庫のものも片付いて、満足である。
物件の資料を見ながら、いただいた煎茶を淹れる。
煎茶はあまり熱い湯で淹れてはいけないということを微かに思い出しながら、ぐらぐらと沸いたお湯を注ぐ。
南部鉄器の急須も持っているのだけれど、重くて使い勝手が良くないので、私はどんなお茶を淹れるときもプレス式のティーポットを使う。
ガラスなので、お茶の濃さがどのくらい出たかわかるのも良い。
苦くて、ほんのり甘くて、お茶の香りがして。
きちんと美味しい、すごく美味しい。
本当に美味しい!と、この煎茶をくれた友人に連絡を入れる。
そして、調理の匂いを消したくて、何か粗品の古い煎茶をフライパンで煎る。
熱し過ぎて煙が上がり、香ばしい香りを通り越して焦げ臭くなる。
