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大阪の人権救済申立 報道用資料

2014年07月06日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 今年春の卒・入学式では、「君が代」起立・強制にかかわって、教職員や生徒、保護者に対する多くの人権侵害事例がありました。この実態を広く社会的に訴えるために、7月1日、大阪弁護士会に人権救済申立てをおこないます。「日の丸・君が代」問題での人権救済申立てでは、教職員、卒業生、保護者が共同でおこなうケースはおそらく初めてではないかと思われます。ぜひご注目下さい。
 以下は、7月1日申立て時の記者会見用に準備した資料です。

◎ 大阪府立高校における「君が代」強制にかかわる人権救済申立てについて

1 はじめに
 本件申立ては、大阪府立のある高校(仮にA高校とします)における卒業式において、いかなる方法によって、「国歌斉唱」に際しての起立斉唱の強制が行われ、その過程でいかなる人権侵害が行われているかを、A高校の卒業式に関わった様々な立場の人々(教職員3名、卒業生、保護者各1名)から問題にするものです。
 2011年6月13日、大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例(略称「大阪府国旗国歌条例」)が施行されて以降、大阪府立学校においては、卒・入学式において「国歌斉唱」に際しての起立しなかったことを理由として教職員の懲戒処分が多数行われています。
 本件申立ては、A高校という、一つの特定の府立高校における問題を取り上げていますが、同様の問題は、大阪府立の他の学校でも大なり小なり発生していることが予想され、その意味では大阪府立学校に普遍的な問題を提起するものになっていると考えています。
 2 事案の概要
 本件人権救済申し立てが中心的に問題にしているのは、2014年3月に実施された2013年度A高校卒業式です。ここでは、代表的なエピソードとして三年生の担任教諭の一人と、卒業生のことを紹介します。
 まず、三年生の担任教諭について。
 A高校の校長は、府教委と連絡を取りながら、式場内の役割に当たった教職員に対して国歌斉唱に際して起立斉唱する旨の職務命令を発出しました。その上で、式場内に入る教職員に対して、個別に起立斉唱するかについての意向確認を行いました。
 本件で申立人の一員となった三年生の担任教諭の一人は、かねてより卒・入学式に日の丸君が代を持ち込むことに反対の考えを持っていたところ、校長による意向確認が思想良心の自由に反するものと考え、回答をしませんでしたが、校長は再三にわたり執拗に回答を求め、卒業式の前日に至り、起立を明言しないのであれば卒業式に参列させず、卒業生の呼名(本来であれば当然、担任が行うべきものです)も行わせないと通告をしました。
 この担任教諭は、自らの信念と、担任として参列すべき責任との間で苦悩した末、起立を明言することを余儀なくされ、卒業式当日は信念を曲げて起立せざるをえなくなりました。
 このやり方は、キリシタン弾圧における踏み絵を彷彿とさせるようなものであり、当該教諭の思想良心の自由を大いに侵害するものです。また、三年生の担任を、教育の一環であり、集大成である卒業式に、起立しないなら参列させないということは、当該教員の教育権をも侵害するものと言わざるを得ません。
 次に、卒業生について。
 卒業式の主役である卒業生をはじめとして、卒業式に参列する生徒や保護者は教職員とは異なり、起立斉唱の職務命令の対象ではありません。もとより起立斉唱を職務命令で強制すること自体がおかしいと考えますが、府教委の立場に立ったとしても、卒業生には、思想・良心の自由に従い起立斉唱をする・しないの自由が当然あります。そうであれば、教育の一環として、そのことについて学校側からしかるべき教示がなされるべきであります。
 しかし、実際には、卒業式の予行の際に校長から生徒に対して、卒業式では国歌斉唱において起立斉唱してくださいという講話がなされ、生徒は本来教えられるべき起立斉唱をする・しないの自由について何ら知らされることなく、卒業式に臨んだのです。
 今回申立人となった卒業生は、かねてより卒業式の君が代斉唱の際に起立したくないと考えていましたが、校長の講話により、精神的な圧力を受けました。このことは、卒業生の思想良心の自由を侵害するものですし、教育を受ける権利をも侵害します。加えて、卒業生の保護者にとっても、その子女に対する教育の権利が侵害されたものと言わざるを得ないでしょう。
 このほかにも、A高校においては、教職員らが有休を取って、学校敷地外で卒・入学式における日の丸君が代について批判するビラまきをしたところ、校長から「府民の信頼を損ねる」「学校の方針と違う意見を載せたビラを撒くのはやめるように」等と当該教職員らを指導するような表現の自由に対する侵害行為が行われたりしました。
 また、2013年度A高校卒業式で起立しなかった教職員に対して戒告の懲戒処分が行われるとともに、新規採用教職員の指導担当をさせないという差別的処遇がなされたりもしました。
 3 卒業式とは何のためのものか
 そもそも、卒業式とは何のための式典なのでしょうか。それは、当然のことながら、高等学校3年間の教育の締めくくりとして、卒業する生徒らの卒業を祝し、前途にエールを送る場であるはずです。
 しかし、一連の動きを見ていると、A高校の卒業式は、あたかも君が代を参加者一同で起立斉唱することを第一の目的とする式典であるかのようです。参加者が一人残らず君が代を起立斉唱する、ということが最大の目的であり、そのために、起立しない教職員は予め排除するし、卒業式の予行での生徒に対する講話も起立斉唱の話ばかりでした。
 卒・入学式に君が代を強制的に持ち込むことで、このような本末転倒が起こり、多くの人々の人権を侵害することになっているという事実を、この入権救済申し立てを通じて問題提起したいと考えています。
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