徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

大学のこと

2011年11月17日 | 海外ボランティア

 あまりインドのことばかり書いているとお叱りが来そうなので、大学のことを書きます。大学には一応毎日通って資料調べや、会議、学生のプレゼンレビュー、前期試験レビューなどに参加しています。

 学生の卒論中間レビューに参加した感想ですが、4グループほど電気・電子関連のテーマで卒論研究を進めているのですがその内容レベルはあまり高くありません。というのも、教授陣が今現在、自分の研究テーマというものを持っていないので、学生がそこら辺に転がっているテーマを適当に拾って取り上げている感じで継続的な学究的探求に基づく内容、といった感じが見られないのが現状のようです。ただ、先任の村松さんが指導しているグループだけは内容的に飛び抜けていて、しっかりした物になっています。また、レビューの進め方ですが驚くことに、教授陣が徹底的に発表している学生たちをヤッツケルというスタイルです。おいおい、そんな質問をしても答えようが無いでしょう、といった事をびしびし聞いて学生が返答に詰まる場面が多々ありました。また、指導教官までが同様な立場で質問するのにもあきれました。当方は企業で30年以上働いて来て、部下の育成や従業員の指導はまず”モチベート;動機づけ”が最重要だという頭が有りますのでなんともついていけない感じでした。

 また、前期最終試験が11月18日から開始されるに当たって、同僚同士で試験の相互確認を行います。私自身は今回は受け持ちは無いのですがこのレビューには参加しなくてはなりません。2教科・4試験ほど見た結果ですが特に留学帰りの若い教官の試験ではとにかくヤヤコシイ出題が多いのに辟易します。もともと、ブータンの教育は記憶、丸暗記が基本になっているので知識を詰め込んだものがここでの勝者な訳です。その勝者の先端が留学組で、彼らはとにかく教科書に書いていることは良く覚えています。しかし、ここでも言いたいのは実社会で必要なのは応用力であって、知識は丸暗記しなくても何時でもマニュアルを引けば出てくるという事です。もともと、丸暗記などということは無文字社会の語り部が最も得意とする技術であって文字の発明以来、紙がその代わりを務めてくれる様になっています。ましてや、誰もコンピュータと記憶力で張り合おうなんて無理な事は言わないでしょう。とは言うものの、サルも木から落ちる、出題の回答に計算違いが有ったのでしっかり指摘をしておきました。

 昨日はRUB(ブータン王立大学)の総長がこられてミーティングが有りました。総長はダショー(ナイトに類似の称号)ですが気さくな人物で且つ、実務的な内容の話をされていました。ブータンの全ての大学はRUBに統括され、今年の7月から独立行政法人の形態に移行しています。最大の問題は経費をどうするかという事で、日本の大学が数年前に蒙った事態がブータンの大学で起こっています。つまり、いままで全ての運用経費は政府が負担していて、大学はお金の心配などした事が無かったのに、7月からは自分の経費は自分で稼げ!と言われたので大変な訳です。こうなると、経費を削るかお金を稼ぐしかない訳で、ただでさえ教員が足りないのにどうすれば良いのか、と総長に迫る同僚もいました。この背景は良くは判りませんが政府の予算縮減とともに、大学にダイナミズム・実社会とのリンケージを深める、といった意味合いが有るようです。まあ、ブータンの大学もシャングリラの象牙の塔、という訳には行かないようです。