森喜朗の女性差別発言の件、森喜朗側がマスコミを使って猛然と巻き返しに出ている。まず、6日(土)昼に毎日新聞が記事を出し、「元々、会長職に未練はなく、いったんは辞任する腹を決めたが、武藤敏郎事務総長らの強い説得で思いとどまった」という<内輪話>を紹介した。記事では、森喜朗が「5日、毎日新聞の取材に応じ」、「経緯や舞台裏を明かした」という説明になっている。この後、森喜朗を擁護したり「功績」を認める発言がマスコミ記事に上がり始め、じわじわと増える傾向にある。
8日(月)朝のモーニングショーでも、石原良純が森喜朗擁護の論陣を張り、森喜朗叩きは不寛容な社会の象徴だと主張した。森降ろしを封じ込めようという動きが台頭している。
当たり前のことだが、武藤敏郎らが4日午前に辞任を慰留したという話はウソで、後付けの作り話である。森喜朗の立場を有利にすべく世間の同情を惹くネタを出し、会長職続行の正当性を補強しようとする世論工作だ。こんな話は4日午後の会見時には全く出なかったし、4日夜のプライムニュースの場でも出ていない。武藤敏郎らと腹合わせして、森喜朗と親密な記者やライターを使って撒いている工作情報である。
通常の政治センスを持った市民なら、この話には事実の捏造と偽装を疑わないといけない。そしてジャーナリズムの心得を持った記者なら、4日午前に行われたとされる組織委幹部の会議について内容を取材し、隣席していたのは誰と誰なのかを明らかしないといけない。武藤敏郎を含む参加者全員から証言を聴き、会議の議事録を検証・復元しないといけない。
通常の政治センスを持った市民なら、この話には事実の捏造と偽装を疑わないといけない。そしてジャーナリズムの心得を持った記者なら、4日午前に行われたとされる組織委幹部の会議について内容を取材し、隣席していたのは誰と誰なのかを明らかしないといけない。武藤敏郎を含む参加者全員から証言を聴き、会議の議事録を検証・復元しないといけない。
辻褄が合わない情報はすでに存在する。読売が4日正午付で報じている記事では、4日午前、武藤敏郎は報道陣の前で「私が直接(その差別)発言を聞いたわけではないので、コメントは控えたい」と言って逃げている。「辞任」だの「慰留説得」だのの要素は微塵もない。
この時点で、森喜朗側は「辞任しない」という意向をマスコミに流して報道させていた。そして、午後の会見でそれを表明するという予定も流していた。「辞任しない」という報道は、4日朝のかなり早い時点で出ていて、女性差別発言が表面化して騒動になったのと同時の時系列だったと記憶する。「辞任しない」という対処方針は、森喜朗本人の意向を離れてはマスコミにはリークできないはずだ。
その時系列を追跡し確認するだけでも、この「辞任する腹」だの「強い説得」だのが真っ赤なウソで、世論工作のための作り話だということが判明する。
その時系列を追跡し確認するだけでも、この「辞任する腹」だの「強い説得」だのが真っ赤なウソで、世論工作のための作り話だということが判明する。
多少弱気になっていた気配はあったが、森喜朗は居座る意思だったのであり、4日午前の組織委幹部会議はどうやって強行突破するかの対策を腹合わせした場だ。騙されてはいけないのは、森喜朗の権力というのは、森喜朗に与力する昵懇のマスコミ記者が大勢いて、一丸となって森喜朗の身を守っている現実と構造がある点である。
5日のフジの「バイキングMORE」に出演し、スタジオでこの作り話を「真相」として最初に披露したスポーツライターの小林信也もそうだ。それに続いて、6日にこのフェイクニュースを「舞台裏」として報じた、毎日の記者とTBSの関係者もそうだ。7日朝に記事を書き、森喜朗の続投の必然性を事情通のように語って読者を誘導している日刊スポーツの三須一紀もそうだ。
記事では、森喜朗について、「世界中を飛び回り、各所に頭を下げ」「老体にムチを打ち、地べたをはいつくばるような交渉を続けた末」に五輪招致を成功させた功労者だと激賞する「関係者」の声を代筆していて、噴飯な工作員の筆致に脱力させられる。
これらはすべて軍団一味による反撃工作だ。森喜朗および官邸・自民党側の意図と差配に沿って流しているもので、ウソの作り話を真実として偽装し、大衆に信じ込ませて既成事実化させている政治に他ならない。
これらはすべて軍団一味による反撃工作だ。森喜朗および官邸・自民党側の意図と差配に沿って流しているもので、ウソの作り話を真実として偽装し、大衆に信じ込ませて既成事実化させている政治に他ならない。
実際の4日午前の組織委幹部会議がどうだったかというと、推察するなら、ジュネーブのバッハとコーツと国際電話を繋ぎ、事態収拾の作戦プランを決定し、全員で意思統一して動き出したということだろう。
森喜朗とIOC側の対策の肝は、国内世論の沈静化ではなく欧米世論を沈静化するところにある。午後に即会見を開き、「謝罪して撤回」の既成事実を作り、それを朝日新聞やNHKに大見出しで報道させたのは、欧米での英字報道を意識したもので、欧米に伝わる情報内容に神経を集中させたものだ。欧米の人々は、森喜朗の記者会見の細部までは注意して見ないし、映像を見ても日本語のニュアンスは伝わらない。
日本人から見れば、あの会見は全く謝罪になってないし反省の内実など寸毫もない。開き直りの会見であり、形式だけ「謝罪」の言葉を述べたものだ。取り繕いであり、見え透いた幕引き工作の布石である。だが、朝日やNHKが英字見出しで「謝罪」「撤回」の語が並べば、欧米の人々は深く詮索せず真に受けてしまう。
これが森喜朗とバッハ・コーツの計略で、フォーカスした主たる対象は欧米世論だったのだ。記者会見の直後、電光石火の速さで「森会長は謝罪した。この問題は終了と考える」という声明を発表したのは、最初から5日中に幕引きするという作戦計画が決められていたことを意味する。
これが森喜朗とバッハ・コーツの計略で、フォーカスした主たる対象は欧米世論だったのだ。記者会見の直後、電光石火の速さで「森会長は謝罪した。この問題は終了と考える」という声明を発表したのは、最初から5日中に幕引きするという作戦計画が決められていたことを意味する。
異論が出る隙間を与えず、IOC内で対応を協議することもせず、即座に「終了とする」と発表したのは、初めからシナリオを固めていたからで、森喜朗と謀って連携行動していたからだ。IOCの「終了」決定の幕引き工作のために、朝日やNHKの英字報道が材料として必要だったのであり、それを森喜朗が緊急会見で「提供」したのである。そういう政治の流れだ。
作戦奏功の結果になったのか、欧州からの反発の声は弱まった様子で、週末を挟んで大きく波紋を広げる展開になっていない。欧米の大衆や競技者たちは、日本はジェンダーの遅れた国だから、こういう女性差別丸出しの古い体質のボスが組織を仕切り、八方を丸く収めないと五輪運営も回らないのだろうと、そう解釈し理解する。後進国はそういうものだ。まあ慌てて素直に謝罪したのだから大目に見てやろうかと、そういう視線と反応になる。それがバッハとコーツの狙い目だった。
巷の声を聞いていると、森喜朗に対する非難や拒絶はきわめて強いけれど、バッハやコーツの態度に対する批判は聞こえてこない。4日から行われている幕引きの政治の全体像を正確に捉えている意見も少ない。五輪憲章には男女差別を含むあらゆる差別を認めないことが謳われ、男女平等はIOCの基本原則だと言明されている。
巷の声を聞いていると、森喜朗に対する非難や拒絶はきわめて強いけれど、バッハやコーツの態度に対する批判は聞こえてこない。4日から行われている幕引きの政治の全体像を正確に捉えている意見も少ない。五輪憲章には男女差別を含むあらゆる差別を認めないことが謳われ、男女平等はIOCの基本原則だと言明されている。
だが、そのトップであるバッハとコーツが、実はホンネとタテマエを使い分ける醜い欺瞞をやっていて、森喜朗擁護の急先鋒であり司令塔なのだ。女性差別発言が出て問題化した後、間髪を入れず不問を決め、続投支持の方針を決めたのはバッハとコーツである。
この事実は、ジェンダー平等を言いながら、IOC幹部のそれがいかに口先だけのものかを物語っている。ジェンダー平等主義は彼らの精神に内面化された思想ではなく、皮相な飾り文句に過ぎないものだということが分かる。IOC幹部は、今回の森喜朗の事件に立腹したに違いないが、その怒りの中身は、7月の五輪開催すなわちNBCからの巨額放映権料回収が揺らぐ危機を招いた失態に憤慨したのであって、五輪憲章の理念が傷つけられたことに怒ったわけではない。
つまり、何よりゼニカネが優先で、IOCの銭儲けのためなら男女差別の失言などどうでもいいのだ。
森喜朗はIOCと幹部の懐にゼニをもたらす大事な恩人なのである。私は不愉快で、森喜朗の馘首は無論のこと、東京五輪も中止にするべきだし、バッハを始めとするIOC執行部も総辞職するべきだと思う。否、もうIOCは解散して、五輪そのものを一から見直した方がよいと考える。
森喜朗はIOCと幹部の懐にゼニをもたらす大事な恩人なのである。私は不愉快で、森喜朗の馘首は無論のこと、東京五輪も中止にするべきだし、バッハを始めとするIOC執行部も総辞職するべきだと思う。否、もうIOCは解散して、五輪そのものを一から見直した方がよいと考える。
銭儲けの五輪は不要で、人類の健全な発展に有害だ。少なくとも、ネオリベ化した1984年のロス五輪以前の姿に戻すべきで、商業主義と決別し清算する必要がある。
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