数年前、廃棄されたプラスチックが、風化や摩擦などで小さな破片になるのや、歯磨き粉や化粧品で滑り止めに使われるマイクロプラスチックが、人間や動物に健康上の大きな問題を起こすと言われていたがその後、話題になってなかった。そこに、NationalGeoraphicが、2024年3月6日付けの医学誌「The New England Journal of Medicine」に発表された論文を紹介、血管内にたまった微小なプラスチック粒子が、心臓発作(心筋梗塞)、脳卒中、死亡のリスクを高くすることを証明したという。
以下その要約:
脂肪などでできた沈着物であるプラークが動脈の壁の中にたまる「アテローム性動脈硬化」になると、血管の壁が厚くなるため体の各部への血流が悪くなり、脳卒中や狭心症、心臓発作のリスクが高まる。プラークは通常、コレステロール、脂質、細胞からの老廃物、カルシウム、フィブリンと呼ばれる血液を固めるタンパク質からできている。
今回の研究は、頸動脈(首の動脈)のプラークを取り除く手術を受けたアテローム性動脈硬化の患者304人について行われた。切除したプラークにプラスチックが含まれていた人は、含まれていなかった人に比べて、その後の約3年間に心臓発作や脳卒中を起こしたり何らかの原因で死亡したりする割合が4倍以上も高かったという。
プラスチックに含まれる化学物質が溶け出し、ホルモンなど内分泌系の働きを乱すといった健康問題を引き起こす可能性があることは以前から知られていたが、「プラスチック粒子そのものが人間の健康に影響を及ぼすことが示されたのは、今回が初めてで、マイクロプラスチックを人間の疾患と関連づける、画期的な研究」という。
しかし、マイクロプラスチックヲ無くそうという運動は起きていない。人間が引き起こした自然破壊は、たくさんあり過ぎて、一々対応できず、生きる上で已むを得ないのかも。