東洋経済が、「宇宙の「商業利用」がなかなか進まないわけ。元三井物産マンが起業した「宇宙商社」の挑戦」と言う記事を載せていた。ここでいう宇宙開発とは、ロケットで人工衛星を静止軌道に乗せ、それからとれるデータを有効活用しようと言う事が基本で、日本の優秀なロケットと、人工衛星が欲しいという世界カ国からの需要をマッチングすれば膨大なビジネスが得られるというわけ。
宇宙開発といっても、ここでいうのは、人工衛星を効率的に打ち上げて人工衛星のカメラから得られる映像を活用すると言う事で、月にコロニーを作ろうと言った夢物語ではない。それでも年間四兆円のビジネスが出来ていると言うから宇宙開発は先行き巨大なビジネスが広がっている。
宇宙における商業利用はまだ不十分
――ロケットや人工衛星など、ものづくりのイメージが強い宇宙産業で人工衛星とロケットのマッチングや、打ち上げサービスを提供する「商社」を設立したのはなぜでしょうか。
宇宙産業が自ら収益を得られるビジネスになりきっていないという思いがあった。産業の両輪は技術革新と商業利用にある。宇宙産業では技術革新が続いているが、商業利用はまだ十分に進んでいない。
宇宙産業はもともと政府が主導して民間企業にロケットなど宇宙開発のためのインフラ作りを発注してきた産業で。官需依存の面が強い。一方で、人工衛星を打ち上げて通信や観測データを利用したいという民間企業は増えている。そのような企業と衛星を打ち上げるロケットを提供する企業をつなぐ存在が必要になっていると考え、宇宙商社としてロケットと衛星のマッチングや打ち上げにかかる煩雑な手続きを代行する打ち上げサービスを立ち上げた。
私自身は2013年に起業するまで三井物産で鉄鋼の商材を扱ってきた。鉄鋼の世界では、原料の購入から鉄を売るまでの流れが民間企業同士で還流している。「B to G(政府)」の状態を脱していない宇宙ビジネスを始めたのは宇宙好きだからではなく、いちばん難しい分野にチャレンジしてビジネスパーソンとしての本懐を遂げたいと思ったからだ。
人工衛星打ち上げ需要の背景でもある、宇宙に関連したデータビジネスをどう展開しますか。
関わっていこうと考えている。現在の宇宙産業は人工衛星を打ち上げて、その衛星で得られたデータを本業の事業に生かすことや、外部にデータを販売したりすることでマネタイズしていくことが念頭にある。当社は衛星の打ち上げコストの低減など入口の事業を強化していたが、宇宙データを使って事業に広がりができることで、衛星の打ち上げ需要がより高まる好循環ができるかもしれない。
すでに国内でも、さくらインターネットが経産省から事業を受託し、衛星画像などの宇宙データを無償で共有するサービス「Tellus(テルース)」を始めた。シャープやコニカミノルタなどの大手企業もTellusを支える宇宙データの活用を民間で推進するための取り組み「xData Alliance(クロスデータアライアンス)」に参加している。今後も宇宙事業とあまり関わりのなかった企業が宇宙分野に関心を示す可能性も高い。宇宙の総合商社として宇宙事業を始める企業の手助けをしていきたい。
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