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総裁選立候補者の方々に捧ぐ

2008年09月06日 | 不思議ニッポン

安岡正篤先生の人間学講話「運命を開く」プレジデント社刊から引用して、総裁選立候補者に捧ぐ。

国事を憂えて泣いた桂と小村

 世界の奇蹟と言われるほどに日本を発展・勃興させた明治時代の政治家と、今日の議会などを通して見る政治家とのどこに相違があるか。第一の相違は、情緒・精神の問題です。

至醇な熱烈な情緒・精神というものを、今どきの政治家は持ち合わさない。持っている人が誠に少ない。これがたくさん出てくれれば、世の中は問題ないのです。必ず良くなるのです。

 左内(橋本左内)一五歳(註)の時の彼の感想から思いついて申しますと、たとえば明治時代の政治家・大臣などは、ひとたび天下国家の事になると、よく泣いた。今は天下国家のために泣く、人民のために泣くなどという政治家は少なくなりました

 日露戦争の頃、桂首相の秘書官であった中島久万吉(くまきち)翁の話に、当時、なにしろ皆、興奮して何かというと激論が多かった際に、桂さんや小村さん(寿太郎。外相)が抱き合って泣いている光景をよく見かけることがあった。いま国事を憂えて抱き合って泣く政治家がいましょうか。

註・橋本左内=吉田松陰と並び称された幕末の志士。

『 この橋本左内、十三、四のころ、お父さんから、いろいろ経書や史書を教えられたが、どうも性質がよく伸びず、ぐうたらで、これでは、とうてい学問も進歩するあてもないように考えられて、毎晩、寝床の中で泣いた。

親から、教えを受け、勉強して、どうも俺は人間がだめで、とてもこれじゃ偉くなれそうもない。学問が進歩しそうもないと考えて、毎晩布団をひっかぶって泣いたという、これが大事なところです。

 この情緒、感動を持たねばならないのです。この精神があるかないかで人間が決まるのです。この情緒を、年とともに、何になっても変わらず、それ相応に持ち続ける人が本当に偉いのです 』                

安岡正篤・人間学講話「運命を開く」同書より

安岡正篤(1898~1958)

東洋政治哲学・人物学の権威。東洋思想の研究と更新の育成に従事。戦後、昭和24年に師友会を設立、政財界リーダーの啓発教化につとめ歴代首相より諮問を受ける。