子供のころ、大人に知られたくない秘密基地で気の合った友達2・3人で遊んだものだ。
我が家にも、6・7坪の空地が裏にある。
裏の家と、建物の間の一日、陽のあたることのないスペース、庭でもなく、さしたる花や木が植わっているわけでもない。
先住民は何に使っていたのか、デッドスペースでしかない。
なんとなくじめじめして、シダや苔がもっぱら生えている。
シダも数種類、苔も幾種類か繁茂している。雑草も生えるが土が柔らかいので、手で以って簡単に引き抜くことが出来る。
北東の角に、山椒の樹が植わっていて勢いが良く、隣家のフェンスに向けて丈夫な棘と、きつい香りで挑戦的に枝を伸ばしていた。
朝から、剪定ばさみで、ばさばさ切って成敗した。ゴミ袋に入れる際、棘で傷を負わないよう葉と枝もろとも、みじん切りにした。
シダ類も、抜いて老人の秘密基地は出来上がり、日陰にたたずむ独居老人の謎めいた空間は、家人が呼べども聞こえない場所だ。(どうやら、ケイタイだけは圏外では無いらしい)
雨が降らない限り、ここに引きこもることが出来る。
後ろ隣りの家から、子供たちの話し声も聞えてくる。
変なおじさんがいると通報される可能性はあるので、やはりここの秘密基地はやめた方が良い。