いったいどれだけの時が流れたのだろう・・・と、ふと振り返る。
あ、そうか…まだひと月も経っていないのだ。
新しい月はまだ満ちていないのだから。
絶え間なく鳴り続ける一定の機械音だけが、生きている事の証だった。
夜中のICU室の一番奥の個室で、看護師さんから突然仮眠室で休んでいた彼女の息子たちを呼んで欲しいと言われてから
上って下りて揺さぶられ、上り詰めたかと安どのため息を漏らした途端の急降下。
・・・ジェットコースターでもあるまいに・・・。
そして、本当にあっけなく不本意なゴールに着いてしまった。
手術の痕を隠す為に、姉さんかぶりをして、薄い紅をさして・・・
まるで、嫁いで来た姿そののままで棺の中で眠る彼女を見ても
白い小さな箱の中に納まって、ちょっとだけ笑みを浮かべた写真の横に居るのを見ても
それが現実だとは受け止められていない。
そこに居るのはどう考えても、絶対おかしいって!!
広い田舎家の廊下の奥から、ぽりぽりと頭を掻きながら
「あれぇ、ぽれさん、もう着いたの?掃除まだしてないよ~。」とかなんとか・・・
いつも通りに笑ってる声が聞こえたような錯覚。
・・・・・・・・・・・・・・・そして、様々な後悔が嗚咽となる。
私たちは、まだいい。
家に帰ればいつもの現実が待っており、すぐにこの現実で生きて行ける。
この現実で生きられる事がすべてになる。
・・・残された者達は・・・
彼女がいない現実を、どうやって受け止めて行くのだろう・・・。
分かってるんだ。私がどれだけ心配したって、どれだけ涙を流したって
あの現実の中で生きて行かねばならないのは、彼ら自身でしかないって事くらいは。
先週、彼女の次男坊からメールが届いた。
「今晩のおかずです。」と、自分で作った家族4分の食事の写真付(笑)
「すげ~なぁ!」と返信すると、「また遊びに来てください
」と返事が来た。
ほんとに、お星さま付き
・・・思わず吹き出してしまった。
・・・これからの時は始まったばかり。
表面上は、静かに、静かに全く新しい時間が流れて始めているのだね。
彼女がそこに居るのだという錯覚とも現実ともつかない、彼女がいた家で。
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随分日を空けてしまいました
少し疲れすぎてしまって、長い間なかなか疲れが取れなかったりした事もありますが
それ以外にも色々理由がありまして・・・
実はこの非常事態に、有り得ない事をやらかしてしまった奴がおりまして・・・(ワシじゃ!!)
彼女の息子たちをまたしても笑わせてしまった事が起きまして・・・
ま、やはり私の存在意味はそこなのだと、再認識した次第です。(この話はいずれまた)
同時に、人は必ず死ぬのだと、そしてそれは時を選ばず人を選ばない。
次は私が見送られる側になるのかな・・・と・・・
ならば・・・ある程度は、やはり準備をしなければならない年齢なのだと、真面目に思い始めています。
とは言え、いつもの生活をしながら、あちこち片づけるのは至難の業ですわよ!!
歳のせいか??ほんっとに思う事、考える事に体が付いていかないのですわよ!!
それと・・・
Ⅰよ!Ⅱよ!いつか別れの時が来る!!今のうちに、出来る事はやってしまうから覚悟しとけ!!
まずは・・・お面作り直して、怪獣作って、お江戸に掃除と洗濯と叱咤激励しに行かねば・・・!!
なんてね、色々考えられる程に、自分を取り戻しつつありますよ。