古いアパート沿いのアスファルトの歩道の上、
一面に金木犀の花が散っていた。
吹く風に微動だにしないのは、少し前に降った雨のせい。
ぴたりと地面に張り付いて、じっと見ているとそこだけが淡いオレンジ色の別空間。
車椅子でその上を通ることが少しはばかられたけれど他に反れる道もなし。
ふっと、少し緊張して息を吐き、オレンジ色の空間に足を踏み入れる。
ただそれだけの事なのに、そのまま別世界へ吸い込まれるような不思議な一瞬。
その数日後、夜中中唸っていた雷は激しい雨を伴って朝は急激に冷え込んだ。
・・・木枯らし一号。
一気に空気がぴんと張り詰める。
これもまた別世界への入り口。
もう25歳になったから、一度は家を出ないといけないかなぁ・・・
半年前にそう呟いていたろんが、一昨日初めての独り暮らしを始めた。
テーブルの上に、愛らしいパッケージの入浴剤と一緒に一筆箋に躍る文字。
「おばちゃんへ
いつも美味しいご飯をありがとう。
たくさん起こしてくれてありがとう。助かってました。
がんばります!」
・・・だってさ。
不覚にも涙がこぼれる。
ほんっとにあんたときたら、寝起きの悪い一之介よりもずっと寝起きが悪くて
学生時代から6年間、毎日毎日何度も起こしにいったっけね。
おうっ!がんばれっ!!
はぁ・・・晩御飯の用意・・・6人分になっちゃった。
はぁ・・・しばらくは感覚がつかめずに作りすぎちゃうんだろうなぁ。
うん。しばらくは、きっと、かぁちゃんを起こしに行くついでに、あんたの部屋を覗くだろうなぁ。
おばちゃんにとっては、ちょっと別の生活が始まるって事だわ。
これもまた別世界への旅立ちかもしれないね。
出会って、別れて
出会って、別れて
形はそれぞれ違っても、そんなこんなの繰り返し。
自分がここに在る限り、果てなく続く出会いと別れ。
悲しい別れもあるけれど、嬉しい別れもあるって言うのが救いだな。
はぁ・・・
え?寂がっている?私が?
まぁ、ちょっとは・・・?
ない!ない!ないっ!!
自転でも1時間もかからずに行ける距離ですから~っ!!
それに・・・それに・・・
忘れ物があって、昨日は帰ってきましたから~っ!!!
おい!しっかりがんばれよ!
明日からとうとう11月。
おばちゃんもがんばるし~っ、まぁ、ぼちぼちなぁ
一面に金木犀の花が散っていた。
吹く風に微動だにしないのは、少し前に降った雨のせい。
ぴたりと地面に張り付いて、じっと見ているとそこだけが淡いオレンジ色の別空間。
車椅子でその上を通ることが少しはばかられたけれど他に反れる道もなし。
ふっと、少し緊張して息を吐き、オレンジ色の空間に足を踏み入れる。
ただそれだけの事なのに、そのまま別世界へ吸い込まれるような不思議な一瞬。
その数日後、夜中中唸っていた雷は激しい雨を伴って朝は急激に冷え込んだ。
・・・木枯らし一号。
一気に空気がぴんと張り詰める。
これもまた別世界への入り口。
もう25歳になったから、一度は家を出ないといけないかなぁ・・・
半年前にそう呟いていたろんが、一昨日初めての独り暮らしを始めた。
テーブルの上に、愛らしいパッケージの入浴剤と一緒に一筆箋に躍る文字。
「おばちゃんへ
いつも美味しいご飯をありがとう。
たくさん起こしてくれてありがとう。助かってました。
がんばります!」
・・・だってさ。
不覚にも涙がこぼれる。
ほんっとにあんたときたら、寝起きの悪い一之介よりもずっと寝起きが悪くて
学生時代から6年間、毎日毎日何度も起こしにいったっけね。
おうっ!がんばれっ!!
はぁ・・・晩御飯の用意・・・6人分になっちゃった。
はぁ・・・しばらくは感覚がつかめずに作りすぎちゃうんだろうなぁ。
うん。しばらくは、きっと、かぁちゃんを起こしに行くついでに、あんたの部屋を覗くだろうなぁ。
おばちゃんにとっては、ちょっと別の生活が始まるって事だわ。
これもまた別世界への旅立ちかもしれないね。
出会って、別れて
出会って、別れて
形はそれぞれ違っても、そんなこんなの繰り返し。
自分がここに在る限り、果てなく続く出会いと別れ。
悲しい別れもあるけれど、嬉しい別れもあるって言うのが救いだな。
はぁ・・・
え?寂がっている?私が?
まぁ、ちょっとは・・・?
ない!ない!ないっ!!
自転でも1時間もかからずに行ける距離ですから~っ!!
それに・・・それに・・・
忘れ物があって、昨日は帰ってきましたから~っ!!!
おい!しっかりがんばれよ!
明日からとうとう11月。
おばちゃんもがんばるし~っ、まぁ、ぼちぼちなぁ