『あざみの歌』は まだ歌えますか

泣いて、笑って、歌って介護!!そんな日常の過去の記録と
新たに今一度自らを見つめてぼちぼちと戯言なりを綴ります。

彼方の妙な記憶

2013年03月28日 04時08分59秒 | かぁちゃんにまつわる話
ちょいと話は続きます。


先日のドラマを観ていた途中で、背の君がしみじみと大真面目に呟いた。
「やっぱり、僕らには見えへん別の世界が見えてはるんやろなぁ・・・。」
「うんっ♪」
応えた私の声は幾分はずんでいたと思う。

だって、やっぱりかぁちゃんだけじゃないんだって事が分かったから

ずっと以前にこちらにも書いた事があるけれど
かぁちゃんにも、やっぱり先に逝ってしまった人達が見えている頃があったのだ。
まだまだしっかり話も出来たし、完璧じゃなかったけど、文字だって書くことが出来た頃。
まだ隣に引っ越してくる前の話だ。

一番最初は、逝ってしまったばかりの“おばちゃん”との会話から始まった。
布団に寝かせると決まって「ねえちゃん!ねえちゃん!」って呼びかけていた。
そして、ず~っと顔だけを持ち上げて寝ている布団の足元を見つめて、
うつろな言葉で延々と何か喋り続けていたっけ・・・。

・・・これって、その後慣れるまで、何とも言えない気分でありましたよ。
おそるおそる“その場所”を見つめて「おばちゃん、おるん?」って聞いてみたりもして
もちろん返事はなかったけれど・・・って・・・あったらやっぱり・・・おばちゃんでもこわかろ~

伯母がいなくなった事は、かぁちゃんにとって、この世で生きることを諦めてしまったくらい衝撃的な事だったし
実際、かぁちゃんが誰の目から見ても“完全におかしく”なったのはその直後からだったので
それはまぁ仕方ない。と言うより、会えて良かった・・・くらいにも思えてどちらかと言えば冷静だったのだけれど
その後、やはり「うっそ~っ!!」と思う事は次々起きた。

ある日、私がかぁちゃんの夕食をテーブルに並べていると「おじちゃんと○○のおじさんの分は?」と聞くのだ。
おじちゃんというのは、かぁちゃんの叔父で随分世話になったが、かぁちゃんも懸命に世話をした人なので分かる。
けれど、もう一人の“○○のおじさん”というのは、オヤジさん方の親戚で、
随分と母の事を気にかけてくれていた人なのだが、その数日前に亡くなられたのを母には知らせていなかったのに・・・

・・・やっべ~・・・ほんとに見えてる~・・・・・・妙な確信・・・

「おじちゃんと○○のおじさんのご飯は持ってこんかったん?」ってかぁちゃんが怒るので
一応「どこにおんなるん?」って聞いてみると
「そこに!まぁっあんた見えれへんの?」って大きな声で怒り出す始末。
これは無下に否定は出来ないだろうなぁ・・・と、私もそこらを見つめて、それから言った。
「おじちゃん達、もうご飯は食べて来たからいらんのだって。」
「あら、そうなん。もう食べて来たって?」とかぁちゃんはすぐに納得して食べ始めてくれたけど・・・

それから時々かぁちゃんに会いに来てくれたのは、かぁちゃんが最も苦手だった筈のひいばぁちゃん。
かぁちゃんにとってはお姑さんの立場で、かぁちゃんがまだ40歳になる前から、足掛け5年間おしめの世話をした。
そのせいか自分が世話をしていた記憶が最も強いようで
「今、トイレに連れていってあげたのにいないわ。」だの
「買い物に行くって言いなったのに、まだ帰らないわ。道が分からないんよ。」だの
実際、かぁちゃんがふらりと家を出てしまったのは、このひぃばぁちゃんを探しに行くのが大半だった。

その度に私は心臓が凍りつく思いで、ひぃばぁちゃんを探しに行ったかぁちゃんを探しに行ったのだけど
幸い私が一緒に居る時には「ちょっと見て来るわ!」って私だけが外に出て、少し時間を置いてから
「帰らんなんってもう帰りなったよ~。」とのんびり言うと素直に納得してくれるようになった。

かぁちゃんには確実に見えて、私には全く見えない世界ってのがあるんだなぁ・・・
と、一応そういう理解をする事で、その頃は自分をごまかしていたけれど
今懐かしく思い出すと、あの時のかぁちゃんにはそれが現実だったのだし
無理やりそう思うのではなく、そういうのって有りだな♪な~んて微笑んでしまったりするのである。


あ・・・だからどうよ!って話じゃないのですよ。


去年、かぁちゃんの故郷に行った時(カニ食べに
「かぁおばさん、どないなんだ?」と聞いた従兄弟の兄貴に
「相変わらず!・・・あんなぁ、お母さんなぁ、おばちゃんが見えとるみたいだで。」と言うと
兄ちゃんは、一瞬「え?」てな顔をしたけれどすぐに
「そうか、おばさんにはおふくろが見えとるんか・・・。」とつぶやいて、それから
「おふくろ、わしんとこには来んけどな。」と言って、にやっと笑った。
私もうへっ♪と笑った。



今でもかぁちゃんは時々ひょいっと顔だけ持ち上げて、じ~っと足元を見つめておりますよ。






そうそう、かぁちゃんが落ち着かなかった頃(玄関を開ける度にドキドキしてた頃)
ぺこちゃんのお迎えやなんかで、その場を離れなければならない時には必ず言っていた事がある。
「おばちゃんおんなるん?」かぁちゃんは大抵コクリと頷いていたので
「ほんなら、おばちゃんと一緒に留守番しといてぇよ!」私は完全に本気だった。
「分かった♪」と答えるかぁちゃんの声を聞きながら、心の中で
「おばっちゃん、かぁちゃん見とってぇよ!!。」ってつぶやいたりしてね




昔っから“立ってる者は親でも使え!”って言うけれど
まさしく“立ってる者は住む世界の違う人でも使え!”と言う罰当たりなお話でありました。







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彼方の記憶

2013年03月18日 17時07分43秒 | かぁちゃんにまつわる話
ちょっとばかり前の夕食後のTVタイム。
一足先に食事を終えた背の君は特に観たいものがなかったと見えて「こないだ録ってたの観よかぁ。」ってドラマの再生ボタンを押した。
私のバタバタは夕食時がピークで、背の君→ぺこちゃん→未だ帰宅には早いぴぃ一家(隣へ運んでおくのだ)
それから、忘れちゃいけないロデムのご飯。結石予防のサプリを缶詰に混ぜてカリカリを合わせておく。

家に戻ってからようやくかぁちゃんのご飯をセッティング。
近頃、固まって動かなくなってしまった右手の親指をうんしょと開かせて一応何とかスプーンを握らせてから
あ~ん♪って開けたかぁちゃんの口にスプーンでご飯を運びながら
私もむぐむぐむぐとご飯を口にほうばりながら・・・横目でTVを観る♪
お行儀が多少悪かろうが、そんな事に気を取られているとご飯も食べられないし、TVを観る時間もない。



             
                録画してたのはこれ♪

新聞広告を背の君が見つけて、ちょっと前に切り抜きがテーブルの上に乗っかってたんだけど
ほどなく。TVドラマでやるって言うから、これも録画は背の君がしてた

私はかなり天邪鬼なので、普段こういう関連の物はあまり観ないのだけれど
今回はとても素直に観てしまった。

何故なら、最初のしかぶった冷蔵庫の所で背の君が大爆笑!
「久しぶりに聞いたわぁ!」
そうなのだ。九州のお国訛りは耳に懐かしい。
丸顔の主人公のお母様と馴染みのある言葉は“おっかさま”の事が次々に思い出される。
そうして、短い時間に纏められたドラマでは語りつくせないだろう様々な思いが・・・
主人公の戸惑いや躊躇い、そして凍りつく一瞬の表情で語られる思いが・・・分かってしまうのだ。

うん。うん。ふるふるさせながら息子に差し出される手が・・・
その事に一生懸命で口元からたらりと“よだ子さん♪”
おでことおでこをくっつけて安心したような穏やかなお顔が・・・
かぁちゃんと一緒!一緒!(ま、歳はかぁちゃんのが一回り下だけど

なもんで余計に、日々今とは違った形で格闘していた最初の頃の事や
自分と向き合ってしまった時の数々の後悔等々。
こんなに思い出すか?と言うほど思い出してしまった。
私だけじゃなく、背の君までが「かぁさんもこんなんしてはったなぁ。」としみじみ。

いつのまにか横目で観ていた筈のTV画面に夢中になっていると
カタリとかぁちゃんがスプーンを落とした。
慌ててかぁちゃんの顔を見ると“あ~ん”と口を開けている。
落としたスプーンに気付いていないのか、右手はスプーンを持たせた時のままの形だ。

「あぁ、ごめんごめん。わるかったなぁ。」とかぁちゃんの故郷の訛りでつぶやいてスプーンを口に運ぶと
何だか知らないけど涙がこぼれてこぼれて・・・

ここに生きて在ってもこうなのだ。
目の前で息づいている姿があってもこうなのだ。



突然に途切れてしまった命を思う方々のお気持ちは・・・
と、思いを巡らせながら、その数日後に2年目のあの日を迎えておりました。




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しばらく日が空いてしまいました

背の君の手伝いをしながらいつもの生活をするのは、自分の持てる時間をギリギリまで使うって事なのでして
わかっちゃいたけど、やっぱり疲れはするようで、なかなかこちらへ遊びに来る時間が持てなくて
PC開けても睡魔に負けて、いつの間にかこっくりこっくり
我ながら「なさけねぇ・・・」日々を送っております。

怖いなぁ・・・と思ったのはこちらで発信しない事にすら慣れてしまいそうで・・・
いやいや、そうであってはやはりいけません。
何事も長続きがしない性質ではあるものの、細々と8年もの間続けて来たのですから
やはり細々ながらも発信していかねば・・・と思いを新たにしている次第です。


ただ、思う事も多々あり、オヤジさんのカテゴリーはなくしちゃいました
問題はまだまだ多々あれど、オヤジさんももう歳ですからねぇ(笑)
それに、かぁちゃんが歌えなくなってから数年が経ちました。
そろそろタイトルを変えなきゃいけないかな・・・なんて事も考えております。
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