『昭和時代』と言う言葉で、結構グサッと来た私。
けれど、それよりも……
この夏、ひと月以上我が家に滞在していた嫁ちゃんと孫ちゃんなのだが
玄関を開けると孫ちゃんの様子が何となくおかしい。
え?まさかの場所見知り?人見知り?
続いて、小さなお口から、いつになく小さな声で
「おばぁちゃん……」と言ったのだ。
ぐぇっ!!
いつもなら「ばぁば!」と、元気に呼んでくれるのに、
お、お、おばぁちゃん?何でーっ
ど、どうしたーっ
その瞬間、私の中で、白髪で腰の曲がった……杖をついた我が姿が浮かんだ。
いやいやいや!
いやいやいや!
いや、ばぁばと呼ばれる事には何の違和感もないのだけれど、
私の個人的な感覚では、ばぁばとおばぁちゃんは全く異なるモノなのだ
勿論、感じ方には個人差があるのは承知の上なのだが、
「孫ちゃんどうしたーっ?ばぁばだよー!ばぁばだよー!!」と半ば叫んでいたら
嫁ちゃんが「あーっ!!」と声をあげた。
なんでも!
義実家に夏休みに行って来ますと説明したところ
保育園の先生が
「孫ちゃんは、おばぁちゃんの所に行くのね。おばぁちゃんの所から帰って来たら、また元気で来てね。」
と、暫くお休みする彼女に語りかけてくださっていたとの事。
こちらへ来る道すがらでも
「おばぁちゃんのとこに行くの。」と言っていたとか。
そうか、そうか、おばぁちゃんと言う人の所に来たのに、ばぁばが居たので戸惑ったのだねぇ。
まぁ、その日のうちには、何となく分かったのか?
「ばぁばー」と、元気で呼んでくれたのでホッと?したのだが、
これらの言葉の感じ方は人それぞれで、
同じ言葉の受け止め方も人それぞれ。
同じ言葉を話す者同士でも、大きな違いがあるのかもしれない。
どんな言葉でも、さらっと受け流すだけの力量が自分にない事を反省すべきなのかもしれないが、
自分の口から出た言葉にも、相手様にとっては心の傷を齎らす力があるのかもしれないなぁ……
なんて、少し考えてしまった。
いや、深く考えてしまった。
悪気があったのかなかったのか、
他者の言葉で完璧に破壊された心の再生。徐々にパッチワークが完成しつつあるニノ介の
以前と同じ笑顔を横目にしながら。