ぽてちの「人とはちがうモノ」日記

「人と同じことはしない」ぽてちが選んだ、いろいろなモノたちのお話。

「決壊」

2008-07-21 10:33:07 | 読みモノ
「決壊」(平野啓一郎)を読んだ。
冒頭から不穏な雰囲気で、どうなることかと思ったら、最後まで
不穏なままだった。重苦しい小説。

ネット、いじめ、マスコミなどと犯罪との関係や、加害者と被害者の関係、
いろいろな要素がまじりあって複雑で難解な話になってます。

その中で一番印象に残ったのは「赦し」かな。
被害者は加害者を許せないと思い、憎むわけだけど、
それでは本当の救いにならない、本当の平穏は訪れない、
相手を赦すのでなければ、というのは残酷な話で、それこそが
「被害」なのかな。人間にそんなことができるとは思えないんだよね。
キリスト教徒にはできるのかなぁ。もしできる人がいたら尊敬します。

主人公がずいぶん若いんだと思ったら、作家自身、33歳だそうで、
いかにデビューが早かったかに驚かされる。