ぽてちの「人とはちがうモノ」日記

「人と同じことはしない」ぽてちが選んだ、いろいろなモノたちのお話。

「貝の帆」

2009-01-09 13:07:38 | 読みモノ
「貝の帆」(丸山健二)を読んだ。
2006年に読んだが、再読したくなって。
登場人物が皆特徴あって良い。語り手はやがて生まれてくる胎児の魂。
その母は、妊娠中ではあっても隣に越してきた美青年に翻弄される単純な性格。
父は掛け軸の中の美人にしか興味のない郵便配達員。
祖父は徘徊老人で、文字どおりナイスなボケをかます。
姉は万引き、家出を繰り返す反抗期の中3。
そして隣のこの世のものともあの世のものとも知れない謎の青年。
人知を超えた存在であることは確かだが、なんの目的でやってきたのか。
500ページをはるかに越える長編ながら一気に読ませる筆力がすごい。
最後の誕生の場面は感動ものです。
また読みたい作家。