ぽてちの「人とはちがうモノ」日記

「人と同じことはしない」ぽてちが選んだ、いろいろなモノたちのお話。

「らいほうさんの場所」

2010-03-10 13:29:55 | 読みモノ
「らいほうさんの場所」(東直子)を読んだ。
この作家は歌人でもあるそうで、そのせいか、とても変わった小説。
もう若くない独身の3姉弟が一緒に住むマンション。その庭の一隅に
「らいほうさんの場所」と呼ばれる場所があり、いつも花がかざられている。
らいほうさんとは誰?漢字で書くと「来訪さん」らしいのだけど、
最後まで誰かは明かされない。弟のシュンが殺めてしまった人なのか。
そんなひとはいないのか。登場人物みんなが変わった人たちで、
長女のシズ姉はネットの占いで生計をたてている。
「あなたが今掬った一杯の水は、偶然であり、必然なのです」という
わかったようなわからないような、でもちょっとチェックしたくなる占い。
以前に占った女の復讐めいた理解できない行動。だんだんにこわれていく家族。
「さまざまな気配は、来訪しては去って行く、その繰り返し」というフレーズが
この謎めいた話の答えなのかな。なかなかおもしろかったです。

また読んでみたい作家でした。