国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

モンゴル族の不満が高まる内モンゴル自治区

2011年06月02日 | 中国
モンゴル族と漢民族の対立を解決するには、内モンゴルを分離独立させる他はない。しかし、それは重大な問題を抱えている。内モンゴル自治区の住民の80%は漢民族であり、先住民であるモンゴル族は20%に過ぎないのだ。従って分離独立しても内モンゴルのモンゴル族は差別された少数民族の地位から脱することができない。ウイグルやチベットも同様の域内漢民族を抱えているが内モンゴルより割合は少ないし、漢民族の多くは共産中国成立後の移住民であってウイグルやチベットが分離独立すれば出身地の中国本土に帰る可能性が高い。そもそも、チベットは農耕不能な高原、ウイグルも農耕不能な砂漠の国であり、漢民族の居住には適さない地域である。しかし、内モンゴルの場合は事情が異なる。清朝滅亡時に建国されたモンゴルは内モンゴルの征服を試みたが、既にこの時点で内モンゴルの人口の過半数は漢民族であり、内モンゴル領有によって新モンゴル国が漢民族を多数派とする国になり漢民族に乗っ取られることを恐れた指導者が内モンゴル征服を断念した経緯がある。内モンゴルは中国本土と広く接しており、黄河中流域などには農耕可能地域も多い。この地域は伝統的に漢民族とモンゴル族が混住してきた地域なのだ。 欧州の歴史は、このような多民族の混住が大きな軋轢をもたらすことを教えている。東欧諸国では凄惨な戦争や内戦を通じてこれらの混住問題が解決され、各民族が特定の地域に集中して居住するようになった。現時点で民族の混住が残存しているのはハンガリー周囲のハンガリー系住民のみである。これによって欧州諸国は民主主義の導入に障害が無くなった。民族の混住が存在する状態では、選挙の最大の焦点が民族対立になってしまうのだ。中国も将来民主主義が導入される可能性が高いが、内モンゴル自治区は漢民族が長年居住してきた地域であり、モンゴル族と漢民族のどちらに帰属すべきか決着のつかない問題になる。この問題を解決できるのか、解決できるとすればどのような方法で行うのかが重大な問題になってくるだろう。 . . . 本文を読む
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