国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

東アジアとコリアン・ディアスポラ:韓国で高まる満州への関心

2011年07月11日 | 韓国・北朝鮮
最近の韓国で満州国への関心が高まっているのは幾つか理由があると思われる。最も重要なのは、米英のシーパワーがユーラシア大陸のランドパワーを包囲するという冷戦システムがソ連崩壊・中国勃興・米国衰退によって終焉を迎えつつあり、ランドパワーとシーパワーの対峙としての半島分断もまた終焉を迎えていることであろう。来るべき在韓米軍の撤退後は韓国軍は独力で中国と北朝鮮に対抗する必要を迫られる。韓国は第二次大戦後38度線で大陸から切り離された島国であったが、それが元の大陸国家に戻るのだ。そして、漢民族や北方少数民族の属国としての苦難の歴史がまた始まろうとしているのだ。 もう一つ重要なのは、満州と朝鮮半島の地政学的関係である。かつて地政学者ハルフォード・マッキンダーは「東欧を支配するものが、ハートランドを支配し、ハートランドを支配するものが世界島を支配し、世界島を支配するものが世界を支配する」と主張した。東欧が何故重要かというと、当時世界文明の中心であった西欧はユーラシア大陸西端の半島であり、東欧はその半島の付け根に位置していたからである。半島を防衛するにはその付け根の地域が決定的に重要なのだ。同じことが東アジアでも成立する。朝鮮半島の防衛には満州を支配することが非常に重要である。冷戦時代の西欧と韓国は、半島の付け根を敵に支配され、米国の巨大な軍事力の橋頭堡として辛うじて生き延びてきた。戦前の日本も、朝鮮半島の安全を確保するために日露戦争や満州国建国で満州に関与した。 韓国は独力で日中両国に対抗していくという歴史上例のない極めて困難な道に進もうとしている。竹島を支配することでシーパワーの日本に対抗し、北朝鮮を併合した上で満州に影響力を行使する、可能なら満州国のような傀儡国家を建設して満州を支配下に置くという海陸の二正面作戦が韓国のグランドストラテジーなのだろう。しかし、人口規模や経済規模で見て韓国は日中両国より小国である。その上、日本が海軍力に集中投資、中国が陸軍力に集中投資できるのに対して、韓国は日本に対抗できる海軍力と中国に対抗できる陸軍力の両方を兼ね備える必要がある。これは韓国の国力から見て絶対に不可能である。最終的には韓国のグランドストラテジーは破綻し、北朝鮮の勝利に終わると思われる。 . . . 本文を読む
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