国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

米国の衰退と日本

2011年07月19日 | 米国
21世紀の世界は多極化する。1815年以降の欧州大陸でフランス・ドイツ・ロシア・オーストリアなどの大国が勢力均衡していた様に、21世紀のアジア大陸では日本・中国・ロシア・インドの4大国が勢力均衡することになる。恐らく、米国の世界覇権が崩壊した後に日本が米国から自立し、上海協力機構に日本が加盟することでそのシステムが開始することになると私は想像している。 米国の世界覇権は、米国の海軍力が世界の海上貿易、特に中東から東アジアへの石油輸送ルートを支配していることによって成立している。その結果米国の通貨ドルが価値を維持することができ、そのドル(国債)を大量に発行することで巨額の軍事費が賄われている。米国の世界覇権は軍事力とドル覇権の両輪から成り立っており、それは総合依存関係にある。従って、今後米国国債が部分的にであれ債務不履行に陥れば、自動的に米国は軍事力を維持できなくなり、軍事覇権も崩壊することになる。その時期が今や刻々と近づいている様に思われる。 日本は米国の属国であるが、米国没落後に東アジアでの米国の役割をそのまま引き継ぐという微妙な立場にある。没落間近の米国はソ連・日本・中国と米国に次ぐ世界第二位の国を激しく叩き続けてきた。日本としては、米国の第二位国叩きをやり過ごし、米国に敵視されないことを最重要視すべきである。その為には、米国の軍事覇権とドル覇権が崩壊するまでの間は不況を維持し強化し続けることが必要だと思われる。 バブル崩壊後の日本は、景気が回復しそうになると間接税を引き上げたりマネーサプライを絞ったりして景気をわざと悪化させてきた。これは実に賢明な政策であったと思われる。現在の菅首相の政策もそれを引き継ぐものである。恐らく財務官僚たちがこのような政策を立案し菅首相に命令を下しているのであろう。米国の覇権が崩壊するまで、もう暫くの間日本人は不況に耐えることが必要である。そして、米国の覇権崩壊後の数年間ないし十数年間は更に困難な不況が訪れることも覚悟せねばならない。その困難な時期の後に、日本はアジア大陸の軍事覇権こそ握らないが、指導的国家として姿を現すことだろう。 . . . 本文を読む
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