国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

リチャード・ヴェルナー氏の中央銀行陰謀論の恐るべき説得力

2006年07月02日 | 経済
◆福井総裁と日銀について① 06:33
前回ご紹介した中丸薫女史は、明治天皇の孫で世界の政財界の要人と面談してきたとはいえ、いうなれば門外漢であり、その情報元はユースタス・マリンズ氏の著書であると思われます。

しかし、今回ご紹介する『福井日銀 危険な素顔』の著者、リチャード・A・ヴェルナー氏は、日銀の客員研究員でしたし、石井正幸氏は、営業局で窓口指導を担当していた元日銀マン。つまり、完全なインサイダー情報です。

2003年の世界経済会議でGlobal Leader for Tomorrowの一人に選ばれたヴェルナー氏と、窓口指導という形で日本の経済を実質的に動かしてきた日銀営業部の石井氏の対話形式で展開される“知られざる日銀の実態”は、まさに驚愕。いわゆる“陰謀論”をバカにする人たちは勿論、全国民に知って欲しいほどの内容です。すでに絶版で入手困難ですが、是非ご一読をオススメします。



●福井総裁就任は30年前から決まっていた

石井:福井さんが総裁就任を受諾するとは思わなかった。福井さんには副総裁だった98年当時、日銀接待汚職事件の責任を問われて松下総裁とともに辞任したという経緯がある。その時、福井さんは全然責任を感じておらず、次は自分の番だと総裁就任に意欲を示していたが、自民党長老の一喝でやむなく辞任した。もちろん責任を自覚していないのは福井さん本人だけで、自殺者を出した上に100人以上の処分者を出したのだから、副総裁という内部管理者のトップとしての彼の責任は非常に重い。

福井さんが日銀を去る時に口にした「世の中に迷い出る」「私は日銀に帰らない」という言葉は今でも記憶に新しい。それからわずか五年で、日銀に帰ってくるとは驚きだ。



ヴェルナー:今から30年以上も前に、日銀の内部の偉い人たちが集まって、2000年あたりの総裁は福井俊彦にしようと決めていたからだ。こうした計画が実は1960年代の終わりからあった。それ以来、福井さんはずっと日銀のプリンスと呼ばれていた。



●プリンスの条件は能力ではなく、忠誠心

ヴェルナー:総裁の選び方はどう考えてもおかしい。若いうちに、たとえば三二~三三歳で六五歳から七〇歳の時期の総裁を決めるのは、どう考えても能力主義ではない。同期や同世代の人たちに「おれが総裁だから、君たちはどんなにがんばっても総裁になれない」という逆インセンティブを与えてしまう。こんなやり方は、どう考えてもやはりおかしい。

石井:若いころからプリンスを決めるのは、日本の将軍の選び方と同じだ。

ヴェルナー:そう。それは貴族杜会にも当てはまる。早い時期に後継者を選ぶことにはちゃんとした合理的な理由がある。後継者選びの条件として、能力よりも重視しなければならないことがある。それは忠誠心だ。忠誠心は早く選ばないと植えつけることができない。つまり、現在のプリンスは自分に対して忠誠心のある人を次のプリンスに指名したい。なぜなら、プリンスは長期的に影響力を保ちたいから、白分の意見や政策を支持する人を跡継ぎにしないと困る。政策を変えずに、ずっと現在の政策を続けてくれれば、影響力を高めることができる。

これは昔の王様・将軍、独裁者の後継者選びと同じやり方だ。自分たちの王朝体制を長く続げるという視点で後継者を選んでいる。そうすると、望ましい人物像は自分の考え方や政策を守ってくれる人だ。合理的なやり方だが、能力主義の選び方でない。能力主義なら、いうまでもなく一番能力のある人、知識があって積極的に仕事ができる人、実績がある人選ぶ。ただし、能力はあっても政策や考え方が同じになるとはかぎらない。たとえ考え方が異なっても、一番いい人を選ぶのが能力主義のメリットだ。民主主義の場合、後継者選びは能力主義に基づいて行わなければならない。そうしなけれぼ、民主主義ではなくて貴族主義、王朝体制になってしまう。

日銀の後継者選びはまさに王朝体制そのものだ。円の支配者が、プリンスたちが次のプリンスを早く選んで「あなたは三〇年後に総裁になる、私のおかげで」と告げる。そうすると、次のプリンスに指名された人は、そこまで支持してくれるのだから「先輩のいうとおりにがんばります」と感謝する。それで、歴代のプリンスたる先輩の考え方、政策を支持するようになる。戦後の日銀の金融政策が一貫しているのは、プリンスの条件が忠誠心だったからだ。早め早めに次のプリンスを選ぶことで、二〇年、三〇年といった長期計画をつくって導入、実施できる。

石井:まったく同感だ。日銀の総裁というのはまさに王様、将軍だ。将軍の跡継ぎを選ぶようなやり方で、日銀の総裁をずっと選んできたことは間違いない。日銀のプリンスはある時期がきたら先輩のプリンスたちからお墨付きをもらう。お墨付きというのは、将来総裁になれますよという証明書みたいなもので、そのお墨付きを出した時点で、たとえていえば総裁のやり方という巻物、本当の秘密も全部書いてある巻物が手渡される。この巻物を渡すということが、あなたを王様にするということになる。ヴェルナーさんのいうとおり、巻物、免許皆伝は早い時期に渡す。この巻物を持っていない人には、本当の金融政策はわからない。実は、前総裁の速水さんはこの巻物を持っていなかった。



●速水おろし、速水いじめのすさまじさ

石井:実は、大変はずかしい話だが、それまで総裁の途中交代がなかったので、日銀はその時この総裁の任期がいつまでなのかわからなかった。速水さん本人もわからなかった し、周囲の人問もわからなかった。本人は三年程度か、あるいは松下さんの残りの任期、すなわち松下さんの任期は九九年一二月までだったので、それまでのショートリリーフかなといった感じだった。しかし、そのうちに速水さんは「いやいや私はね」と総裁の座に居座ってしまって、五年の任期いっぱい総裁をやってしまった。

ヴェルナー:すごくおもしろいことだ。速水さんは本当に短期問だけの総裁になる計画だった。つまり、福井さんが予期せぬ事態に遭遇して辞めて、松下さんの残りの期問が九九年一二月までだったので、三重野・福井の計画では速水さんの任期はそこまでだった。速水さんは当時、日銀を去ってから一〇年以上もたっていたので、日銀とは関係のない人にみえたが、三重野さんと速水さんは日銀の同期でしかも三重野さんのほうが立場が格段に上だったので、三重野さんが速水さんに「君ちょっと総裁になりなさい」と頼んで、速水総裁が実現した。

石井:おそらく三重野さんはその時速水さんの任期は九九年一二月までと考えていたはずだ。それで世の中が変わったら、福井さんを早く総裁にしようと。

ヴェルナー:それが計画だっただろうが、しかし速水さんには忠誠心がない。速水さんはプリンスとは全然違う。若いうちから選ばれていない。逆に、「あなたが総裁になるのはだめだ」とはっきりといわれた。そんな速水さんには、福井さんのことを忠実に守るインセンティブはやはり少ない。三重野さんと福井さんがショ-トリリーフ役に速水さんを選んだのは、速水さんは三重野さんと同年齢で、従来の日銀総裁よりも年輩だったので、短期間の総裁には適任者だった。

そこで、日銀の歴史は長いから、総裁の任期は本来五年だが、この総裁の任期は九九年一二月までだということを理解してもらったうえで、速水さんに頼むという話し合いがあったと思う。しかし、速水さんには忠誠心がなかった。法律をみて、総裁の任期は五年と書いてあるのに、なぜ辞めなけれぱたらないのかと開き直って、辞めなかった。それで、福井さんは相当怒ったみたいだ。

石井:予定が狂ったから。三重野さんも頼んだ以上、速水さんに直接辞めろとはいえなかったのだろう。

ヴェルナー:速水さんが三重野さんたちが計画した任期の九九年一二月で辞めなかったからなのだろうか、二〇〇〇年には速水さんの評判が悪くなるようなことが起こった。理由は不透明なのだが、突然速水さんがゼロ金利政策を解除して金利を引き上げた。おそらく、速水さんは三重野さん、福井さんといろいろ相談して、金利を引き上げたと思うが、その結果速水さんの評判が悪くなってしまった。

金利を引き上げたから景気が悪化し、デフレスパイラルに陥ってしまったとマスコミや各方面から速水総裁は批判された。景気が悪化したのは速水さんの金利政策のせいだとみな思った。しかし、景気が悪化したのは金利を引き上げたからではない。日銀が信用創造の量、すなわち経済に入れるお金の量を九九年中、大幅に縮小させたからだ。当時、銀行は貸し出しの回収に力を入れ経済からお金を吸い上げていたが、日銀も経済からお金を吸い上げていた。経済全体に流通するお金の量を縮小させた。その縮小幅は戦後最大だった。しかし、速水さんは信用創造の量が縮小していることを、日銀が信用創造量を大幅に縮小させていることを知らなかった。

速水さんは金利を引き上げたが、大蔵省・財務省出身の総裁と同じように、本当の金融政策の意思決定にはかかわっていなかった。速水さんは信用創造のことはわからないようだ。営業局も経験していないし、信用創造の量、中央銀行の取引の量だってわからない。速水さんはただ総裁の地位にいただけで、本当の総裁は信用創造の量を決めるプリンスだった。速水さんはプリンスではないので政策決定の権限がなく、信用創造の量を決めることができなかった。実際には、副総裁の山口さんが福井さんの命令によって信用創造の量を決めていた。だから、速水総裁の時にも、本当の総裁は福井さんだった。



●「失業率8%は当然」国民が苦しんでいても何とも思わない人

ヴェルナー:昨年(2002年)の11月に福井さんに会った時、彼は「失業率は8%を!目指すべきだ」と耳をうたがいたくなるような言葉を口にした。福井さんが実際にそうした政策をおこなうかどうかは別問題だが、基本的には福井さんは失業率が高くなっても平気な人だ。

石井:失業率8%でもなんとも思わないという意識は論外だ。だから、福井さんは国民が不況に苦しんでいてもなんとも思わない。

ヴェルナー:それが日銀のプリンスのやり方だ。国民のことは全然考えない。

http://d.hatena.ne.jp/rainbowring-abe/20060702



◆240]中央銀行の正体(3) 投稿者:王仁 王子投稿日:2006/07/02(Sun) 08:59:12
ワニです。中丸ショックでまだヨレていますが、中央銀行論が中座しているのが気になっています(懲りない面々?)。マリンズ氏、ヴェルナー氏そしてロック本に依拠しましょう。ここで彼女を引用したがため、いまいましくも横道に入って議場を混乱させてしまいました。
 話を戻して、ここではヴェルナー氏の所見にワニ流解釈を試みてみたいと思います。氏は日銀ばかりでなく、中央銀行一般についても論じている。とくにECB(欧州中央銀行)が、FRB以上の強い独立性を持っていることに強い疑念を表明しています。ドイツがマルクを放棄したことをミステリーだ、という意味のことも言っている。またドイツの蔵相がECBに注文をつけたら、たちまち更迭されてしまったこと。この更迭したのは国際金融財閥であることは容易に想像がつくと思います(ロス系か)。

 ECBは日銀と並んで、先進国のなかでは最も説明責任の少ない中央銀行だとしている。ECBのプリンスたちが誰によって任命されるのかも容易に想像がつく(ワニだけか)。こうして、欧州人は、米国人がFRBのクビキの下に富を簒奪されるごとく、ECBに操られて富を簒奪されていくようになるのではないか。

 中国も次の超大国に仕立て上げられていく過程で、同じように政府からも議会からも(完全に)独立した私有銀行をいつの間にかはめ込まれていくのではないか。そして「元」のクビキの下、13億人が収奪されていく。

中央銀行が三権分立の外側にあって、強い独立性を持って、いわば四権分立体制をとっているのは、考えてみれば奇妙です。彼らは100年単位の時間をかけて、こうした巧妙な仕組みを主要国のなかに仕込んできたのではないだろうか。
 こういう仕掛けは、それこそ「陰謀的」に行われるために、一般人には分からない。彼らはメディアも制圧してしまっている。彼らに直接インタビューして確かめるわけにもいかないので、証明不可能。証明方法も分からない(ゆえにマリンズ氏の研究成果等から類推していくほかない)。

 ヴェルナー氏の所見で、もう一つ注目するのは、EUは「ヨーロッパ合衆国」をつくることで、これは50年も前から練られていたこと。そして米国と対立させるのだとしている。戦争や冷戦は国際銀行家たちにとって、大きな利益を生む大事業になる。共産国家群という大きな対立軸がなくなった今、新しい対立軸が必要なのではないか。
 ちなみにロック本では、ハンチントン教授の「文明の衝突」もキリスト圏対中国・イスラム圏という対立軸を作るため、国際金融財閥の意向をうけたイデオローグだ、という意味のことを言っている。

 最終的には米中戦争にもって行き、米国を大敗させるシナリオも考えられる。これによって覇権国交代を決定づけることと、同時に地球人口の大幅削減にも資する。これが飛躍した考えでないことは、ロック本(上)p49に、ハンチンントンの非常に深みのある言葉が紹介されている。「中国が世界の主要勢力となったら、過去500年に起こった(覇権交代劇の)似たような歴史現象も、ちっぽけなものに見えるだろう」
 大戦争の企画・演出には、国際金融財閥/中央銀行が深く関わるので関連して取り上げた。 以上

(彼女がどこからか剽窃したにしても、中央銀行に関する所見には真相と思われる部分があるのが、悩ましい)


http://www.snsi-j.jp/boards/bbs.cgi?room=sample1

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3 コメント

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怪しい原理主義 (神陵文庫の編集者)
2011-09-13 22:25:41
 そうそう。中央銀行総裁である日銀総裁がなぜ意味もなく持ち上げられるのか?民主政体の賜物である選挙の洗礼無き人物になぜあれほどの注目度をマスコミは演出するのか分からない。財務大臣より偉そうな存在感を演出していた時期もあった。問題はスイスのバンカーにある。ロスチャイルド(ロス茶)ともイルミナティともユダヤイスラエル結社ともいわれる。なぜ世界を性急にコントロール下に治めたがっているのか分からない。
 学者もノーベル賞もこれらの影響力下にいるものも多い。なぜアインシュタインが20世紀物理学の中であれほど持ち上げられるのか分からない。ボルツマンのほうが偉大だと思うが。これらの違いは一神教的か否かで決まったようなものだ。ボルツマンは自殺したといわれているが本当か?学術を洗脳の道具として乗っ取っている奴がいないか緊急点検が必要だ。No More Fukushimaを思い出そう。学術集団にも編奇した集団もあることを。その背後の陰謀集団も存在することを。
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2020-06-24 16:02:17
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