国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

李明博政権の起死回生の一手:韓国軍戦闘部隊のイラク大規模派遣による、在韓米軍撤退阻止

2008年02月17日 | 韓国・北朝鮮

●「在韓米軍はスープの中に落ちた髪の毛」 柳宗夏元外務部長官が韓国政府を批判 朝鮮日報  2008/02/14

 李明博(イ・ミョンバク)次期大統領の外交・安全保障に関する諮問グループの座長を務める柳宗夏(ユ・ジョンハ)元外務部長官が13日、「この10年間、韓国政府は在韓米軍を“スープの中に落ちた髪の毛”のように扱ってきた」と述べた。

 柳元長官はこの日、未来韓国フォーラム(金尚哲〈キム・サンチョル〉会長)の招きで行った講演で、「コリン・パウエル元米国務長官は、在韓米軍で勤務していた当時を振り返り、“人生で最高のひとときだった”と語った。それほど在韓米軍は誇りを持って韓国に駐留していたのに、あるときから“米国は統一の障害だ”という言葉が聞かれるようになり、本当に困った状況になった」と述べ、さらに冒頭のように表現した。柳元長官は李次期大統領の選対本部で共同委員長を務め、「非核・開放・3000(北朝鮮の非核化と改革・開放を実現し、一人当たりの国内総生産を3000ドル〈約32万円〉にする)」など、李明博政権の外交・安全保障に関する政策を立案する上で先頭に立ってきた。

 柳元長官は「過去50年間、韓半島(朝鮮半島)の平和を維持できたのは、北朝鮮が軍事境界線付近に展開させている大規模な軍部隊の動きを細かく捉えることができたからだが、これは韓国軍の力ではなく、米軍の情報収集能力だ。こんな状況下で、戦時作戦統制権が移管されれば“自主的な国防”になるというのか。現政権が言う“自主的な国防”とは、理念的なスローガンに過ぎない」と主張した。また、「米国は全世界に派遣した軍人を、他国の司令官の部下にしたことはただの一度もない。そんな状況において、戦時作戦統制権をよこせというのは、結局“出て行け”というのと同じだ」とも述べた。

 一方、柳元長官は韓米同盟の強化の方向性について、「互いに助け合う形になるべきだ。米国主導の計画、例えば大量破壊兵器の拡散防止やテロの根絶、貧困対策などには、パートナーとして協力していくべきだ」と主張した。

 また、新政権の対北朝鮮政策の基調については、「李次期大統領は、韓国戦争(朝鮮戦争)当時の韓国軍捕虜の問題や、漁民の拉致問題なども対北支援とリンクさせる方針だ。北朝鮮をタダで助けるわけには行かない。過去10年間の太陽政策では、本来コートを脱ぐべき北朝鮮ではなく、韓国の方がコートを脱いだような形になった」と述べた。

 さらに、対北朝鮮政策の大前提として「核の廃棄」を強調し、「北朝鮮が使用できる核兵器を保有するようになれば、在韓米軍はすぐに撤退することになるだろう。北朝鮮のようなベールに包まれた国が大量破壊兵器を持っているという状況で、米国は3万人もの若い兵士たちを、その目の前に展開させるということはしないだろう」と指摘した。
http://www.chosunonline.com/article/20080214000074






【私のコメント】
韓国の柳宗夏元外務部長官は戦時作戦統制権移管=米軍撤退という認識を示している。そして、韓国の安全保障には米軍の駐留が必要であると主張している。しかし、米軍は盧武鉉政権との間で合意した戦時作戦統制権移管をそのまま実行する意志を変えていない。韓国はこの絶体絶命の危機を乗り越えることができるのだろうか?「米国主導の計画、例えば大量破壊兵器の拡散防止やテロの根絶、貧困対策などには、パートナーとして協力していくべきだ」という発言がヒントになる。

韓国が今取りうる有効な手段は一つしかないと思う。それは、韓国軍戦闘部隊のイラク派遣である。在韓米軍に匹敵する三万人規模の大規模派遣が必要だろう。ベトナム戦争で韓国がベトナムに軍を派遣して米国に恩を売ったことがその後の米軍駐留維持に繋がっていることを考えれば、李明博新政権が韓国軍派遣を考えるのは当然とも言える。韓国支配階層の子弟は海外留学や無理なダイエットなどで徴兵を回避するものが多いことから痛みは少ない。4月の総選挙で与党ハンナラ党が勝利した後に韓国軍戦闘部隊のイラク派遣が検討されることになるのではないかと私は想像する。

ただ、ベトナム戦争当時とは異なり韓国は少子化が進んでおり、一般の韓国人(特に学生やその親)の反発はかなり強くなると想像される。大規模なデモが行われ、大統合民主新党の地盤である全羅道では光州事件の再発もありうるだろう。その強い反発を力で押さえ込むことができれば、米軍が韓国を評価して在韓米軍撤退の方針を撤回するかもしれない。力で押さえ込むことに失敗すれば李明博政権は崩壊し、大統合民主新党が再び政権を握ることになるだろう。

米国大統領選挙の行方も韓国に関係してくる。オバマ候補の外交顧問であるブレジンスキー氏が国家安全保障担当大統領補佐官に就任していたカーター政権は在韓米軍撤退の方針を打ち出したことがあり、韓国にとっては鬼門だろう。マケイン候補もブッシュ政権の延長線で在韓米軍撤退に賛成と思われる。韓国にとって一番都合の良いのは、米英一極主義であろうと想像されるヒラリーになるのではないだろうか。




コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 次期米国大統領に選ばれるの... | トップ | EUが入国管理を強化、指紋採... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (七面鳥)
2008-02-18 13:08:59
イラクでもキリスト教を布教して住民の逆鱗に触れてくるでしょう。さっさと赤化統一されてから半島ごと地図から消えてくれると助かります。
返信する

コメントを投稿