国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

6/20にGMを大手二社が格下げ、円キャリートレード解消でドル暴落のシナリオも

2006年06月23日 | 経済
●Nevada経済速報6月21日(水)15:30
...2006/06/21(Wed) 15:35:44...

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更に危機が深まったGM:格下げ
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GMの信用格付けが更に一ランク引き下げられ、スタンダード・アンド・プアーズは「B」から「Bマイナス」に、ムーディーズは「B3」から「Caa1」へ引き下げられましたが、ムーディーズ社のこの格付けは、投資適格最低ランクより7段階も低いレベルであり、いつ経営破綻してもおかしくない格付けになっています。現在、世界の金融市場がリスクに敏感になっている今、今後仕組み債等でデフォルトが起こるかも知れず、そうなれば信用破綻連鎖が世界市場を襲うことになります。<破綻する・破綻しない>というレベルではなく、<いつ破綻するか>というレベルになってきており、今後、世界の金融市場が震撼する事態になるかも知れません。
http://www.collectors-japan.com/nevada/wr_sokuhou_fr.html


●ブログ『亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」』2006年6月21日
「全般が落ち着き始めた頃にザワザワし始めた米クレジット市場」より抜粋


そんなこんなで混乱の1週間が終わって一息ついたところへ、皮肉にも米クレジット市場から知らせが・・・・・。

ムーディーズ、スタンド・アンド・プァーズの両社はGMの格付け(無担保長期債)をさらに引下げへ。それぞれ「Caa1」と「Bマイナス」だと。「Caa1」は投資適格最低水準(Baa3)より7ランクも低いもの。巨大企業ゆえにキャッシュも豊富に保有しており、直ぐにどうのこうのはなさそうだけど、連続利上げは効くぞぉ~。金市場が売り一巡で、ひと段落したころに、こういう話が出てくるのもねぇ。他にもクレジット市場の変調と見られるものも出てきている。その中で来週はFOMC。
http://blog.goo.ne.jp/msi021112/e/d96d2f86a4021a659218a88f323d544c

●ブログ『債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら』2006年6月22日
「東京都も倒産する・・・・」のコメント欄より抜粋

それよりも・・ (すぎ) 2006-06-22 21:11:04

ぐっちーさん、こんばんは。

地方自治体の債務が国から保証されていないのは、おっしゃるとおりですが・・・

CDSなんか存在しなくても、債務減免が民間金融機関に要請された時点で、現行BIS規制上リスクアセット比率0%で評価されている地公体向け債権おそらく全てに、大幅な引き当てを金融機関対して要請せざるを得ないのでは?

もちろん、ぐっちーさんがかねてご推奨の、メガバンクに与えるインパクトも甚大で、自己資本規制への影響はおろか、引き当てで債務超過に陥る金融機関もでてくるしょうね。金融システム危機の再燃となるのは必至でしょう。

こうしたコストを考えれば、現在の状況を前提として考えると地公体向け債権のリスクは国債のリスクとほぼ等しいと考えて構わないと思います。

もちろん、報道されるような公共セクターの放漫な財政をそのままに、こんな状態で公的セクターの債務が膨張と持たれ合いが継続されるのがよいわけはありません。

三位一体改革が目指すものも、自治体の倒産をも最終的には念頭においたうえで、財政改革と合わせた自立促進であることは確か・・と信じたいですが、どうなることやら。

なお、老婆心ながらCDSは株のオプションのように、バイヤーが勝手に権利行使する種類のものではありません。

もちろんCDS契約上、バイヤーが計算代理人になっているケースは多いですが、ISDAの厳格な定義に基づき、客観性が保たれるような注意は十分に払われています。確かに、Eventの一つであるRestructuringの定義に一般の倒産というイメージとやや相容れない部分があって、いろいろと考えれば陰謀めいたテクニックの入り込む余地がゼロとはいいませんが、そういう類の話は幸田さんとか黒木さんに任せておくとして。。結局のところ、上記のように派生的な影響が大きすぎて実際には到底無理だと私は思いますが。

そういう意味では、現在もっと怖いのは、米国のファニメとかフレディマックじゃないですか?私の感覚では、こっちの方がよっぽど・・・政府系、なんて素知らぬ顔して紹介されることが多いですが、株式公開している純然たる民間企業で、もちろん政府保証は無し。

会計スキャンダルが発覚しても、不思議とたいしたおとがめもなく、格付けもAAAのまま。

GSE(Government Sponsored Enterprise)とよばれるように、確かに緊急融資枠の設定や税務面で優遇されているなど、実態的には「政府系」と判断可能なのかもしれませんが・・でも、あくまで「暗黙の政府保証」・・GSEが保証をつけているモーゲージ関連証券を含めれば、その発行金額は巨額過ぎて目が眩む・・つい先日も、「政府系金融機関発の金融システム不安を懸念」という政府高官の発言がブルーンバーグで紹介されていましたが・・

デフォルトまでは想定しにくいんでしょうけど、格下げだけでインパクトでか過ぎ、みたいな。格付け会社も、まぁ、そう簡単にパンドラの箱は開けられないでしょうけど。
http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55/cmt/9ee7bb37736c8bce968b094e8a97efc7


●GM's credit rating cut yet again  Last Updated: Wednesday, 21 June 2006, 09:06 GMT 10:06 UK

Struggling US carmaker General Motors (GM), which made a loss of $10.6bn (£5.75bn) in 2005, has had its credit rating cut deeper into junk territory.
The move came after GM announced it was lengthening the timescale of its existing $5.6bn (£3bn) credit facility.

GM is extending the credit facility from 2008 to 2011 by offering lenders increased collateral in the company.

The decision to further cut GM's credit rating was made by both Standard & Poor's and Moody's Investors Service.

Recovery 'working'

The carmaker needs the extra time as it continues work to turn around its fortunes and return to profitability.

GM is continuing with plans to cut 30,000 jobs globally and close 12 plants.

Last month GM's vice-chairman Bob Lutz insisted that the firm's recovery efforts were "starting to bear fruit".

GM is far from the only carmaker currently struggling in the face of stagnant sales.

Its fellow US giant Ford also recently saw its own credit rating cut further into junk status, and European giant Volkswagen admitted at the weekend that its situation was "serious" as it continues with a cost-cutting programme that could cost 20,000 jobs.
http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/5101402.stm

●GM ratings sink deeper into junk territory
Two credit rating agencies cut automaker's debt rating further after company announces it was looking to renew a $5.6 billion credit facility.
http://money.cnn.com/2006/06/20/news/companies/gm_credit.reut/index.htm


●円キャリートレードの終焉は1998年LTCM破綻時を上回るドル大暴落をもたらすか?
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/6dbc097b92740c975d0cc89c911e2170

●Ford's credit rating cut further  Last Updated: Friday, 9 June 2006, 05:10 GMT 06:10 UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/business/5062632.stm


【私のコメント】
私が6/16にブログの記事「円キャリートレードの終焉は1998年LTCM破綻時を上回るドル大暴落をもたらすか?」で指摘したGMの格付けが6/20に更に引き下げられた。もはやいつ破綻してもおかしくない状態であると格付け会社が認定した状況である。エンロンが破綻直前まで投資適格であったにも関わらず破綻した事を考えると、当時のエンロンよりも危険度が高いという見方も可能だ。

GMが破綻するかどうかは未確定の事象であり軽率に判断すべきでないが、現在の高い石油価格と燃費の悪いピックアップトラックに依存した企業体質、退職者の膨大な年金と医療費のコストをGMが負担している現状が改善されない限り、何らかの形での破綻は避けられないように思われる。

仮にGMが破綻した場合、FORDやファニーメイ(federal National Mortgage Association・連邦住宅抵当公社)・フレディマック(Federal Home Loan Mortgage Corporation・連邦住宅金融抵当金庫)を含めた懸念企業の発行する債券が一挙に暴落または債務不履行状態となる可能性がある。そして、それらの債券を保有していたヘッジファンドが破綻することで円キャリートレードが一挙に解消されて、1998年のLTCM破綻時を上回る劇的な円高が起きる、という最悪のシナリオは考えておく必要があるだろう。

6/19の米国政府職員の避難所への移動という謎の情報も、この最悪のシナリオ時の米国国内の暴動等による政府機能麻痺に備えたものである可能性がある。市場への影響を最小限に留めるという観点からは米国市場が6/23(金)に引けた後に破綻が発表されて週末が冷却期間として利用されることは考えられるので、6月23日の米国時間の夕方以降は要注意だ。
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