マスミンのピアノの小部屋

ピアニスト兼ピアノ指導者松尾益民が、ピアノや教育、世の中の出来事など日々感じることを、徒然なるままに綴ります。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番「テンペスト」

2016-05-29 00:15:41 | ラ・プロムナード・ミュジカル
明日はいよいよプロムナード・コンサート。
準備もぬかりなく…と思いたい。
が、まだ準備してないものもあります…明日の朝にしよう…。
今回は出番が1回だけなので、ちょっと気が楽だし、準備するものもドレスは1枚でいいので、それも気分的に違いますね。
とは言え、演奏の方は決して楽とは言えません。

さて、ベートーヴェンのテンペスト、譜読みが楽だし、人気のある曲だし…という単純な理由で決めたのですが、曲の気分の変化についていけず、苦労しました。
16,17,18番の3曲が作品31としてまとめられています。
作曲されたのは1801~02年。
このころベートーヴェンは悪化する耳の状態に苦しんでいました。
これらの曲を作曲した後、ハイリゲンシュタットの遺書と言われるものを書いています。
「テンペスト」という名は、ベートーヴェンオリジナルではなく、弟子のシントラーがこの曲を理解する鍵を与えてほしいといったところ、シェイクスピアの「テンペスト」を読め、という答えがあったというところからきています。
「テンペスト」とは、「嵐」という意味です。
激しさと静寂が交互に現れて、ドラマティックで、ちょっと前の時代の「疾風怒濤」を思わせる音楽になっています。
1楽章、3楽章はそれぞれ性格は違いますが、まさに嵐と言えるかもしれません。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタの中では、「熱情」や「ワルトシュタイン」などに比べるとテクニック的には少し楽ですが、この気持ちの変化は何とも言えず、ホントに難しいです。
2楽章が、この激しい楽章の間にあって、抒情的で何とも言えない静寂と憧れを表しているかのようです。
ティンパにの音かと思われる独特の低音の恩恵はとても印象的ですし、第2主題は極めて美しい。
表現は難しいですがこの楽章は好きですね。

この曲を初めて聴いたのは、高校生の頃。
田舎のことでなかなか聴く機会もなく…。
ドラマティックな音楽がとても印象的だったのでしょう、1楽章を創作ダンスの曲に使ってダンスをしました。

明日は、気合を入れて弾かないと、音楽に押しつぶされてしまいかねませんから…。

CDはフリードリッヒ・グルダの ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ第21番 「ワルトシュタイン」 に入っている演奏がいいです。
菊地裕介氏のベートーヴェン : ピアノ・ソナタ集 Vol.1 の演奏は若々しいエネルギッシュな演奏です。