こんにちは!こちらのブログではお久しぶりです、那岐です。
前回の投稿は、な、なんとすでに一年前。ご無沙汰しております、にしてもちょっと長すぎですね。苦笑
ところで、突然ですが皆様、当店のインターネットショップサイトに掲載されている、「ゼクトまるわかり!スパークリングワイン」というこちらの記事はご覧いただいておりますでしょうか?今日はそんなドイツのスパークリングワイン、ゼクトの作り方をちょっと詳しくご案内しちゃいたいと思います。ぜひ先の記事も併せて読んでくださいね。そして、読み終わったらぜひドイツのゼクトを飲みながら、舌の感触と共に復習してみてください。もちろん、ドイツのゼクトは当店でご購入いただけます。(笑)
さて皆様、ゼクトの作り方、ご存知でしょうか?
ゼクトにはいくつか作り方の方法があるんですが、そんな中でも一際ランクの高いゼクトを作り出す方法として知られているのがフランスはシャンパーニュで採用されている、シャンパーニュ方式。ドイツでも格上のゼクトは基本的にこの方法で作られています。そしてこの方法、日本語に直すと「瓶内二次発酵方式」となります。そう、簡単に言ってしまえばワインをビンに詰めて数か月放っておくことでゼクトになっちゃうという方法です。
でもここで皆さん、疑問になりませんか?
皆様のお手元にあるワイン、数か月どころか数年寝かせて楽しみたい、と思って大事にとっておいて、いざ記念の日に抜栓したらあら不思議、盛大なシャンパンシャワーが出来ちゃいました!なんて経験は無いですよね。無い、ですよね、、、、?もしあったらそれは大問題。飲むのはちょっと躊躇いましょう。
そう、普通のワインを普通に瓶詰めして数か月、数年待ったらゼクトになっていた、なんてことは普通ないのです。若いワインは抜栓した直後に軽い炭酸を感じることはありますが、これはワインがフレッシュな証拠なのでちょっと観点が違います。大丈夫。お腹が痛くなる心配はありません。安心して飲んでください。
話をゼクトに戻すと、ゼクトに使われるワインは少しだけ普通のワインと違う部分がないわけではないのですが、それは極々わずかな違い。基本的には「普通」のワインを使っていると言って間違いありません。ではなぜビンに詰めてしばらく待ってたらゼクトになるのか、というと、「酵母の添加」というひと手間をかけているからなんです。
ゼクトでは普通のワインを再発酵させて泡を作り出す必要があります。そう、泡の出ないゼクトはただのワインなのです!感動も何もありません。
そして普通のワインは置いておいても再発酵はしないので、再発酵させるために発酵を行う酵母とその酵母の食事となる糖分をワインに添加してからビン詰し、数か月、数年という期間寝かせてやるのです。
【写真】ゼクト用のワインには酵母と栄養が添加され、よく混ぜられます
【写真】ビン詰めされたゼクトの卵たちは文字通り「寝かされ」て数か月の間発酵をすすめていきます
酵母や必要な栄養を添加し、よく混ぜたワインはここでビン詰めされます。ただ、このビンにもやっぱり一工夫がされています。
皆様、もしかしたらゼクトのビンの底になにやら不思議な線が引かれているのを見たことはないでしょうか?この線、もちろん意味があります。
数か月間寝かされ、順調に発酵を終えたゼクトは二次発酵中に発生した滓を取り除く作業が必要になります。その方法が、21日間かけて少しずつビンを回転させたり傾けていって、滓をビンの口の方に移動させて取り除く方法です。で、そこで出てくるのがこの底の線。この線、ゼクトのビンを回転させるときの目印なんです。ゼクトのビンの回転角度は実はある程度決まっています。間違っても景気よく一回転!なんてしてはいけないので、実際どのくらい傾けたか、そして、そのビンはすでに作業済みなのかそうではないのかを判断する目印が必要になります。そうでないと、延々と同じビンを気づかずに回してた、なんてことになりかねません。(笑)
【上】ゼクトのビン内圧力は最低で6bar。これから圧力は時間をかけてゆっくりと上がっていきます
【下】このビン底の目印が良い働きをします
【写真】滓を取り出すため、数日かけてビンをゆっくりと回転させます
【上】発酵が終わったばかりのゼクトのビンには白くモヤのように見える滓が溜まっています
【下】ゆっくりと時間をかけて滓をビンの口の方に集めてまとめます
21日間かけてゆっくりとビンの口の方に集められた滓を取り除き、再度、今度はコルクでしっかりと栓をしてゼクトの完成です。
今では大量生産するために各種作業を機械化しているワイナリーもありますが、伝統的な仕事はすべて手作業!数百本、数千本とあるビンを一本一本気にかけながら毎日作業をするのです。
こうして愛情をかけられて作られるゼクトたち。美味しくないわけがありません!今夜は美味しいドイツのゼクトを飲みながら、作り手たちの手間暇と愛情に思いを傾けてみませんか?
那岐