「山吹色の純米酒が美味しそう・・って変??」
晩秋を迎え、当店前の山々もだいぶ色づいてきました。
社会の喧騒など何処吹く風で、季節は着実に歩みを進めていますね。
さて、こんな晩秋の夜長には「山吹色の純米酒」を燗につけ晩酌をしたいですね。
また「妙なことをいう酒屋だな」と言われるかもしれませんが、これ大事です。
確かに炭でろ過して透明にした清酒がほとんどでして、これらのお酒が劣化すると黄色く変色してくるのも皆さんご存知だと思います。
ですが、本来、日本酒というものは山吹色なのです。なのに見た目が悪いから炭でろ過して透明にします。
そしてもう一つの要因は炭でろ過することにより雑味をとり除くためです。もちろん雑味とともに日本酒の肝ともいうべきお米の旨味成分も取り除かれます。つまり搾った酒の味に自信がないので、炭を使いさし障りのない味の酒にしようとしている行為なのです。こんなのが美味しいわけがないのです。
一方、醪を完全発酵させ(強健な酵母を育てると、醪を搾る直前まで死滅せずに「米」を「でんぷん」から「糖」へそして「アルコール」に変化させ続けるので、醪の糖分がどんどん減少し、どんどん辛口になっていきます。その甘辛の指標である日本酒度が+10以上の超辛口になることもざらで、日本酒度の+表示の数字が高い純米酒ほど強健な酵母だったとも考えられます。ただし醸造用アルコールを添加したお酒は別ですよ。アルコール添加するほどいくらでも辛口にできるのですから。)
杜氏さんが自信をもって搾った純米酒なら、無ろ過にするか、軽くフィルターろ過するだけで、炭をかけて肝心の日本酒の旨味や個性を取り除くような野暮なことはしないのです。
また、山吹色は熟成度合のパラメータにもなりますもんね。
だから私は、透明な日本酒を見ると、すごく不安になります。「このお酒って絶対美味しそうには見えないだよなぁ。」という逆の観念に支配されてしまうのです。そういう意味で、「山吹色」の純米酒を選んでみてください。でも日本酒の瓶の多くは透明ではないので、これも見た目では確かめられませんので、店主に聞きましょう。
それでは「山吹色」の美味い純米酒の紹介です。
「梅津のきもと山田錦純米原酒H 28BY8割精米」
黒糖や栃餅等の含み香(熟成香)をもち、旨味ものってきて奥行きがある。梅津さんの酒らしい太くて旨い酸は、心地良い。28BYの酸もかなり太くてインパクトがある。精米歩合80%だが、荒々しいというよりも、生酛の精悍さを感じられてワクワク感がある。余韻には、多分に渋味を感じるので、これからの熟成で、旨味も酸味も、もっとまろやかになりバランスが良くなっていくことだろう。燗につけると、よりバランスが良くなる。割水燗にするとスルスル呑める。
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