珊瑚の時々お絵かき日記

夫と二人暮らし、コロナ自粛するうちに気がついたら中国ドラマのファンになっていました。

きみに読む物語

2012年02月28日 | 映画 ドラマ 観劇 その他 観る

愛に溢れた切ない映画。

舞台はアメリカ南部。

老人施設で、一人の老人が入居者である老婦人に、ノートに書かれた物語を読んで聞かせていた。

それは、貧しい若者ノアと富豪の一人娘アリーとの恋の物語だ。

ノアの一目ぼれで始まった身分違いの恋は、ひと夏の夢のはずだった。

でも、それは運命の恋、別れた後も、二人の心の奥で熾き火のように燃え続けていた。

そして、ある日二人は再開する。

「その結末はどうなるの?」

「それはまだまだ先だよ」

「そのお話・・・」

「思い出したかい?」

「読んだことがあるような・・・」

老人の彼女を見る目がやさしい。

やがて老人は、「アリー」と彼女に呼びかける。

「これは、私達のことね!あなたはノア?」

「そうだよ、アリー」

その物語は、今は年老いたノアとアリーの輝かしい青春の物語だったのだ。

認知症を患って、彼のことを忘れてしまったアリー。

「ああ、ノア、私、いつまでこうしていられるの?」

「この前は5分だった」

彼女がアリーに戻るその5分間のために、ノアは、何度も何度も彼らの物語を読んで聞かせていたのだ。

アリーを取り戻したひと時の幸せは、前触れもなく突然終わる。

彼を突き放し、「あなたは誰!」「どうしてここにいるの?」と半狂乱になるアリー。

ノアの悲しい表情が切ない。

読んでいたノートには、「愛するノアへ、アリーより」と書かれているというのに。

老いるって、なんて残酷なのだろう・・・

ある夜、ノアはアリーに戻った彼女の傍らで、眠る。

翌朝、病室を訪れた介護士が見たものは、手を取り合ったまま旅立った二人の姿だった。

これはきっと幸せな結末なのだろうと思う。

でも、長年連れ添った夫が、妻が、自分を忘れていく悲しみはいかばかりか。

自分が愛する人を忘れていく悲しみは・・・

ある日、あなたは誰?と問いかけられたら・・・

その日の恐ろしさに震えてしまう。

最後まで憶えていたい、憶えていてもらいたい。

そのために、いったいどうしたらいいのだろう・・・