娘と一緒に地下鉄に乗っていた時のこと、
停車した駅で、若いお母さんと二人の女の子が乗り込んできた。
まず5歳くらいの女の子が跳ねるように駆け込んできて、
次に3歳くらいの女の子と、ハアハアと息の荒いお母さんが続いた。
お母さんは、やっと捕まえたという感じで、年長の子にお説教を始めた。
「勝手に一人で行っちゃダメって、いつも行ってるでしょう。
お母さんは手が2本しかないんだから、お荷物を持っていたら二人とは手がつなげないでしょ」
と、言い聞かせるが、本人は上の空、ごめんなさいとは言っているけれど、明らかに本心じゃない。
その様子が、ああうちの子が小さいときと同じだわと、思わず笑みがこぼれてしまう。
そこで、ふっと思ったのだけれど、
今、あのお母さん、自分のことをお母さんって言っていたっけ。
ということは、あの子たちは、お母さんと呼んでいるのね。
そう言えば、少し前にもお母さんと呼んでいる小さな子がいたわ。
いまどきはみんな、ママと呼ぶのだと思っていたので意外だった。
娘にそのことを言ってみると、ああ、そうだね~
少し考えて、「でも、私のお友達は、お父さんお母さんって呼ばせてる人、多いよ、
○ちゃんも、△ちゃんも、×ちゃんもだよ」と、お友達の名を挙げる。
ああ、そうなんだ、意外だ。
「でもね、○ちゃんと△ちゃんは、自分の親はパパママって呼んでるんだよね」
「え、そうなの、おもしろいね」と、私。
そう言えば、私の友達はパパママと呼ばせている人が結構多い。
○ちゃん、△ちゃんの親と同年代だ。
それがどうかした、というわけではないけれど、自分が親をパパママと呼んだ人は、
わが子にはお父さんお母さんと呼ばせたくなるのかしら、なんて、たまたまよね。
我が家でも、娘が小さいころ、一時パパママだったけれど、
いつの間にか、お父さん、お母さんになっていた。
きっと、娘が、仲良しのお友達がそう呼んでいたのを聞いて、
大人っぽくてカッコいいと思ったのかも知れない。
息子が生まれたころには、お父さんお母さんが定着していたので、彼に選択肢はなかったわね。