胸の痛みで乳腺クリニックへ行ったら、筋肉痛だったという笑い話のような結果だったけれど、
私も、ガンではないだろうとは思っていた。
というのも、5年以上前の検診で、マンモの写真を見せられた時のこと。
これが普通の人、と先生が指したのは、白いもやもやした乳腺が網目のように走った写真。
そして、これがあなたの、と言われてみたのが、黒い円形の空間。
まるでブラックホール。
「乳腺がほとんど退化してますね、飲みつくされちゃったんですね~」
そう言えば、息子の時はおっぱいが出なかったわ、娘が飲みつくしてたのね。
乳腺が退化していると言われても「ああ、そうなんだ」と、特にショックでもなく
先生に確かめたわけでもないのに、乳がんは乳腺にできるというから、
乳腺ががないということは、癌にもならないということなのでは?と、
かえってラッキーだと思った。
ところが、今回見せられた写真には、何と白い乳腺がくっきり写っているじゃない
「少なめですけど、綺麗な乳腺ですね。、異常ありませんよ。
石灰化が2カ所ありますが、問題ありません」
「はあ、そうですか、ありがとうございます・・・」
先生の診断を聞きながら、狐につままれたような気分だ。
随分経っているし、違う先生だったので、前回の写真のことを口にだしはしなかったけれど、
この年で、乳腺が復活するはずはない。
マーモの検査機器が進化して、ブラックホールの奥にあった隠れ乳腺が現れたのだろう。
やっぱり、私にも乳腺はあったのだ。それなら検診はしなくっちゃ。
当時、職場で、同じように乳腺のない人がいた。
たまたまそのことを知って、私たち乳がんだけは大丈夫ね、と幸運を喜び合った。
でも、今にして思えば、彼女の場合もきっと見えなかっただけなのだ。
あれから彼女は検診に行ったかしら、行けば、私のように乳腺が現れるのではないかしら。
ガンにならないという自信は間違いだったのよ、と言ってあげたいけれど、
特に親しかったわけでもなく、今はお互い辞めていて、連絡のしようもない。
ちゃんと検診していたらいいな~。